使い魔2
「テア、この使い魔の魔導書って」
「はい、ご覧になりましたか?」
「読んだけれど、こんなに大変なの?魔物でない生物の場合には、生まれたときに最初に見て親と思わせるすり込みのように強い信頼関係がある相手にだけ、魔法で使い魔にできるって。で、人工生物の方は、魔銀に対して龍属、例えば飛龍ワイバーンなどの血を混ぜて生成するって。みんな本当にこんなやり方で使い魔にしているの?」
「はい、神聖王国の魔術師団では、後者はお金持ちの貴族の子弟であり魔法に長けた人しか無理ですのでほぼ居ませんでした。前者はまだ挑戦しやすいのでそれなりには居ましたが……私はどちらもできませんでしたが……」
「テア、ごめんね。こんな大変だったとは思っていなくて」
ユリアンネは写本やポーションの売上のおかげで魔銀貨も入手できるようにはなったが、それでも貨幣程度の素材量であり生成できるとしても手乗りサイズの小さな人工生物となる。
しかもSランク魔物の龍ドラゴンとは言わなくてもAランク飛龍ワイバーンの血。王都に来る途中で金級冒険者のエックハルトが倒しているのは見ていたが、あのときに血を少しでも貰っておけば。Bランクの地龍ドレイクでも良かったかもしれないが、せっかく貴重な魔銀を使用するならば空を飛べる人工生物を作ってみたい。
また素材を用意する以外に、かなり魔力も必要らしく、環境的にも満月の夜であることや、魔素の集まる場所が望ましいとのこと。それを儀式魔法で実施するようである。
「ユリアンネ様?」
考え込んでいたユリアンネにドロテアが声をかける。
「あ、ごめんね。使い魔を連れた魔術師団員の人にも聞いてみたいな。それと、テア。私のことは“様”ではなく“さん”ね。本当は呼び捨てでも良いのだけど、無理そうだから。それに皆と同じようにユリで。冒険者仲間なんだから、外から変にみられるとあなたも私たちも大変だからね」
「はい、ユリさん……」
「そう、頑張って慣れてね」




