フィノイス周辺の村支援3
その日は、敵兵が居ないと言われていた村を3つまわったところで終了となる。
ステフェンの街に戻るには時間がもったいないため、フィノイスの街を取り囲むビザリア神聖王国軍からはできるだけ離れた場所で野営することになっている。
「もし明かりが敵に見つかってしまうと襲撃されるため、このような食事で申し訳ありません」
守備隊の中でも一番上の役職、兵長の者が謝ってくる。銀級冒険者は曹長扱いとのことであり、兵長にすると間に伍長、軍曹の2階級があるほど上位の相手ということで丁寧な対応がされている。
「いえ、おっしゃることはごもっともで、我々も命の危険をおかしてまでは」
少しヨルクが微妙な顔をしているが発言まではしていない。
ユリアンネは、少し考えて、鍋を取り出す。
「ユリ、何をするの?火は使えないんでしょ?」
「ちょっと待っていてね」
≪水生成≫から水分子の動きを抑えることで氷を生成したことを踏まえると、水魔法でも水分子の動きを活発にするように意識すれば温かいお湯を生成できるのではないかと考えたのである。
最初は上手くいかなかったが、だんだん湯気が出てくる。沸騰するまでは出来なかったが、それなりに温かい、というより舌を火傷するぐらいには熱いお湯を生成することができた。≪湯生成≫とでもして魔術語の整理もしておきたい。
「ユリ!流石だ。これで温めると少しは美味しいものが食べられるな!」
一番喜んだのはやはりヨルクであった。
干し肉をお湯にひたすだけでもスープのような物にすることができ、一緒に行動している守備隊にも配り感謝される。
その夜は守備隊の5人が見張り番をしてくれると言ったのだが、話し合いの結果、魔力を回復させる必要があるユリアンネ以外の10人が交代で見張りをすることになった。




