呼び出し
「今度はしっかり準備してから出品するわ!」
臨時出店の失敗で落ち込んでいたゾフィたちは、露店では継続的に売れることを再確認し立ち直っている。
「せっかくの店舗スペースがあるけれど、またしばらく作業場所にするしか無いわね。もっと店舗運営を勉強するわ」
迷宮都市トリアンに帰っても店舗運営するつもりのそれぞれは、この王都で試行錯誤することを諦めてはいない。
密かに落ち込んでいたユリアンネもカミラやゾフィの明るさに助けられる。
そんなことがあったある日、槍道場の帰りに地下水路の依頼状況などを確認しに冒険者ギルドに立ち寄ったシミリートが応接室に呼び出される。
「俺たち、何かしてしまいました?」
「いえ、もちろんそうではありません。実は……」
「おいおい、本当かよ」
「あぁ、この王都から見て南方にある真モシノム大公国が攻め入って来るという話だ」
「それで、銀級以上の冒険者には事前に声掛けがあるというのか」
「もちろん強制力は無いのだが、逆にそれでどこかに移動してしまうかの戦力の票読みをしたいらしい」
さらに、今回の呼び出しでの声掛けは2種類であった。1つはある意味通常ルートの、冒険者ギルドが戦時に参加募集をする方法。こちらは冒険者だけが集まった部隊で戦場に向かうもの。
そしてもう1つは、魔術師団からの声掛けであった。どういう扱いかも不明だが、まずは魔術師団の拠点に顔を出して欲しいというものである。もちろん、その呼び出し対象はシミリートではなくユリアンネである。名前までは知られていないようで、“選ばれた盟友”の魔法使いとの指名である。
「心当たりは、前の魔物の間引きのときぐらいだよな」
「断れないのよね?きっと……」
幽閉されて何かさせられるための呼び出しであれば、冒険者ギルド経由の堂々とした呼び出しではないと分かっていても、意図がわからないため不安でしかない。




