臨時出店
「そろそろお店を開いてみようかと思うのだけど、みんなはどうかな?」
ゾフィが食堂で6人そろって食事をしているときに切り出してくる。
確かに店舗付の住居を借りているのに、ずっと露店市場でしか出品して来なかった。そちらで少し自信がついたということであろう。
「良いと思うけれど、露店と違って継続して来て貰うには品揃えとか方針が無いと難しくない?」
「そこで、臨時なのよ。短期間だけ店を開いて、この商店街での客層に合うものを探していくの」
「ふーん、それならば余計に良いかもな。本当は、出品の内容を覚えて貰って、この店を目当てに来てくれると良いのだけど、最初は隣近所に来た人がついでにのぞいてくれることに期待だしな」
話し合いの結果、継続して同じ系統のものを出品し続けるため、ジーモントの屋台的な串焼きは避け、ヨルクの武器、カミラの細工物、ゾフィの衣服、ユリアンネの薬とスクロールとなった。
ヨルクの武器は、焼き入れを試行錯誤の途中でありいまだ中級上位のままであり、カミラとゾフィも同様レベルである。
ユリアンネも、主力の傷回復や魔力回復ではない頭痛薬や解熱剤などと、ゾフィの羊皮紙を使った≪火球≫と≪治癒≫のスクロールであり、露店と品揃えは変わらない。
3日間限定で開店し、ヨルク、カミラ、ゾフィのうち2人が交代で店番することになった。
「これなら露店の方が良かったわー」
「そういうなよ」
お試しが終わったところで結果は散々なものであった。
露店では早く完売していたヨルクのナイフなどやユリアンネのスクロールも売れ残り、カミラとゾフィの物はほぼ売れていない。
「ヨルクとユリのはそれぞれ、隣近所の商品と被るところもあるから差別化が難しかったのかもな。カミラとゾフィのは、露天に比べて見てくれるお客の絶対数が違ったのもあるのか」
出店しなかったジーモントが客観的に判断してくれるが、事前確認や検討の甘さが原因であり落ち込むだけであった。




