製薬研究
シャドウ達を見送った後しばらくは、写本やポーションの納品以外に、グリーンリーフへ師事して彼女の製薬方法を学んでいた。
「ほぉ、その≪簡易結界≫というのは混ざり物が入らなくて良いわな」
「でも、丸薬や塗薬のように練る行為はこの中で上手くできないですね」
一方的にグリーンリーフの方法を学ぶというよりは、ユリアンネのポーション調合のやり方も見せることで、互いの方法の良し悪しを確認し、取り入れられるところはないか研究する仲間という感じであった。
「ほう、これがその露天市場で買ったという薬か。確かに素人の調合ではないが甘いな」
「え?どのあたりがですか?」
「ほら、この粒とこの粒の大きさがまちまちで、この素材はこんなに大きいとお腹で消化しきれないだろうね」
「丹薬ってのは、丸薬に魔力を込めたものですか。通常の傷回復薬に魔力を込めて即効性のあるポーションにした感じですね」
「確かにそうじゃな。しかし、昔は丹薬というとこれを薬に混ぜて作っていたんだよ。辰砂というんじゃ」
「え?それって確か水銀……」
「そう、辰砂を加熱するとできる蒸気を集めると、液体の金属、水銀ができる」
「でも、水銀って昔は使っていても身体には毒だったはずでは」
「流石、良く知っておるな。そうじゃ。まだ一部では使用するものがいるらしいが、今では使われなくなっておるぞ。だからわしの作る丹薬は、こうやって魔力を込めるだけじゃ」
ユリアンネも昔の中国では使われていたという前世知識はあるが、この世界でもそうだったのかと思う。
少しずつ回復していく丹薬の製法を学んだユリアンネは、ポーションの飲み過ぎでお腹が膨れたときや、ポーション飲用の隙がない強敵との戦いのために活用するつもりである。とはいってもまだ初級品しか作れないのだが。
また、このグリーンリーフとの交流により素材の扱い方で気づきを得られたこともあり、ユリアンネは高級下位のポーションを調合することができるようになった。




