グリーンリーフ
「ユリ、ここが私たちの故郷出身の薬師よ」
フェザーが早速ユリアンネを連れて来たのはスラム街のほぼ隣という治安の良くない場所であった。念のために一緒に行くとついて来たシミリートが居ないと、ユリアンネだけでは不安になる場所である。
「おばあちゃん、前から話していた、薬師仲間のユリアンネよ。魔法使いでもあるのよ」
「はじめまして。ユリアンネと申します。フェザーとは一緒に薬の勉強もしています」
「あらご丁寧にありがとうね。グリーンリーフよ、よろしくね。良い水薬を作るそうね」
「ポーションのことよ」
フェザーが、疑問顔であったシミリートに補足する。
グリーンリーフは、元々黒髪だったのかもしれないが、今は全て白髪の老婆であった。狭い部屋が元々何であったのかわからないような素材で埋め尽くされており、その中にローブをまとい、シワだらけの顔の一部と手だけが見えている。
「おばあちゃんは、ポーションみたいな水薬というよりは、塗り薬や粒状の丸薬を主に作るのよ。丸薬の中でも丹薬と呼んでいるのはすごいのよ。ポーションみたいに一気に回復はしないけれど、しばらくの間は自然回復よりずっとたくさん回復するの。強敵と戦って消耗しているときに、ポーションを飲むための手が離せなくても回復するから、戦い前に飲むのがおすすめね」
「フェザー、そんなに持ち上げなくても。水薬は水薬の良いところがあるのだから」
「いえ、素晴らしいですね。そんなのを習ったフェザーが羨ましいです」
「あら、ユリも王都にいる間におばあちゃんに習ったら?」
「え?」
「ユリアンネさんさえ、こんなおばあちゃんで良ければ、良いわよ」
「本当ですか!?ぜひお願いします!」
もう少しで高級回復薬に手が届きそうではあるが、その壁を超えられていないユリアンネにとって、他の薬の製法については当然に興味がある。
「ユリ、こんなところに一人で来ると危ないから、来るときは俺も一緒に来るからな」
「……ありがとう、シミ」
確かに一人で来るには危ないが、彼以外の仲間達は生産系の活動に勤しんでいるし、一番時間の融通が効きそうなのがシミリートであるのは間違いない。




