王都での生産生活
ユリアンネは、クロリスに借りた≪闇生成≫の魔導書写本は完成させた上に、他の属性の生成系の魔法との比較考察をした注釈の別冊もつけて返却済みである。
続いては、火風水土光闇の6属性ではない無属性の攻撃魔法、≪衝撃波≫と≪魔力矢≫の魔導書を写本にするために貸して貰えた。
「これは無属性なので、属性変換が無く魔力ロスも少なく操作が容易らしいです。強度もコントロールがしやすく、対人戦などで特に有用と聞いています」
クロリスからの売り文句である。
新居の斜め向かいに店舗を構える、師匠オトマンの知り合いであるライマールにも、過去に製作していた魔導書の写本を納品するのとあわせて、未入手の魔導書の写本を作らせて貰えることになった。
まずは、ダンジョンなどを探検する冒険者には人気という、初級闇魔法≪夜目≫である。同じく光魔法≪灯り≫も松明を不要にできるものだが自身の存在を他人に知らせてしまう。≪夜目≫はその心配がないが、逆にこの魔法発動を人数分だけ行う必要がある。必要に応じて使い分けることになる。
この魔法は、瞳孔を大きくしてより多くの光を集めるような動きになるものだと考えて、効果を向上させながらの修得を目指す。
王都でも写本の能力を活かして新たな魔法習得に繋げられるだけでなく、十分な金貨を稼ぐことができている。ユリアンネはその他にポーションをクロリスに買い取って貰えるため、金銭的不安が無い。
また、薬草と薬瓶もクロリス商会から仕入れているため、自身の能力を他人に知られる機会を減らすことで、さらわれて生産だけさせられる不安もほぼ無く安心した生活を送ることができている。
一方、危機感のあるゾフィは、皮革加工の練習を再開している。先日の魔の森で少ないながらに狩った狼などの魔物の皮を用いて、基礎に立ち戻り一つ一つの工程の精度を上げる練習をしている。
これはユリアンネのポーション調合の質向上は一つ一つの工程を大事にすることから、との話を知っているからと、革鎧などを作るほどの素材は未入手だからである。
ちなみに、その成果物の羊皮紙は、ユリアンネが≪火球≫や≪治癒≫のスクロールにするために購入しているので無駄にはなっていない。ただ、ユリアンネも仲間達が使用する分を超えた量は、これもクロリスに購入して貰うか悩み中である。




