王都生活の厳しさ
「これでは宿代の銀貨1枚も稼げていないよな。しかも何日もかけて」
魔の森の入口近くに数日かけて挑戦したのだが、金銭的成果がほぼ無いダンジョンに潜ったこともあり、魔物討伐の報酬は6人で割ると非常に少なかった。
そのダンジョンの地図も、ユリアンネが丁寧に製作した物ではあったが、その買取に値段をつけて貰うこともできなかった。流石にこれだけ王都に近い低級ランクのダンジョンであり、その品質レベルの地図でも過去に納品されていたようである。
「今回はお試しの挑戦ということもあったから、金銭面は我慢するにしても、これが続くようだと王都で冒険者生活を続けることは難しいな」
「そうね、私たちはトリアンで親の支援もあって冒険者をある程度は順調に始められたけれど、王都で仕事やお金が無いからと冒険者になった人は……。城門は冒険者の証があれば無料になるのは助かるけれど、まともな武器を入手するにはかなり貯めないといけないし、こんな調子ではお金を貯めることも難しいわよね」
「王都の城壁の外側の掘立て小屋の集まり。あれって宿代が払えない冒険者達のものらしい。俺たちもこのままでは人のことを言えない」
ユリアンネは、銀貨1枚、前世での1万円でも東京ならビジネスホテルに1泊しかできず、生活は成り立たないのだろうと考える。
かといって毎月30万円、銀貨30枚以上の手取りを稼ぐには当然に大変で、実家暮らしでもない稼ぎの少ない冒険者は、治安の悪い場所の宿や家で暮らすことになることを認識する。もし怪我でもするとすぐに没落してスラム街や城壁外の掘立て小屋に流れていく不安と隣り合わせなのである。おそらく高価な武器や防具は売ることになり、それで魔物退治もままならなくなり、悪循環になると想像される。
前世、今世の親、育ての親達にあらためて感謝するのであった。
「ユリのポーションや写本みたいに稼げる技が無い私たちはいつまでも呑気でいられないわね。せっかく王都に来て学べる機会があるのだから、頑張るわよ!」
「商人として?冒険者として?」
「どっちもよ!」
特にトリアンの実家、皮革屋の次女であるゾフィは後継では無いこと、冒険者としても鉄級であり、今まで頑張っていた弓矢からショートソードも使うように試行錯誤中であり、危機感が高い。
その意味では鍛冶屋の次男であるヨルクも同様のはずなのに、あまり危機感がなく、ゾフィに突っ込まれている。




