新居の挨拶まわり2
薬類だけでなく写本もクロリスが購入するとのことになっただけでなく、写本のための魔導書の貸し出しもしてくれるとのこと。
「もちろん私の商会の中にも、魔導書の写本ができる者はおりますが、そのような特殊技能をお持ちの方、特に若い方への投資にお金を惜しむつもりはありませんよ。それがひいては商会の発展につながりますので」
早速ということで、ユリアンネが未修得であった闇属性、その初級魔法≪闇生成≫の魔導書をクロリスは貸してくれた。
「まずは属性など色々な物に慣れて頂き、その癖を学んだ後はそれぞれの上位の物に挑戦される方が良いと思いますよ」
さすがは大きな商会の会頭らしく広い方面の商材とそれらの知識がある。
ユリアンネは写本のための材料もこの商会で取り扱っていることも確認して帰宅する。
「長かったわね。帰ってくるのを待っていたのよ。隣近所への挨拶に行くわよ」
新居に戻ったところで早速カミラに捕まり、北側の3軒の住居、隣の食堂と防具屋、南側の武器屋と魔道具屋と書店に順次向かう。
住居は地区の値段だけあってか、商会を引退したような老夫婦が3組であった。成人したての若い6人の挨拶を受けて、微笑ましい顔で迎えてくれた。
食堂は、大衆食堂や酒場ではなく少し落ち着いた雰囲気で美味しい物を提供するところであった。
防具屋と武器屋は、初心者向けではなく中級以上の商品を扱う店舗であり、一般街の第3区画の中では高級店であることが伺えた。この道路向かいの2店舗は同じ人が経営しているとのことだった。
魔道具屋は、それほど品数が豊富なわけではなかったが、超高級品というよりはベテラン冒険者なら購入できるぐらいまでの商品が多く、魔法使いの杖以外にも魔法回復薬や水生成の魔道具、魔法の収納袋などを扱っていた。炎をまとうことができる魔剣なども少量ながらあり、皆が興味津々であった。
最後に、ライマール書店に入り、先日はオトマンの紹介として伺ったが、今度は斜め向かいに引っ越してきた旨で挨拶する。
「それは、それは。前に話した写本など、ぜひお願いね」
と念押しされる。




