セルヴ大森林2
ルードルフの街から乗合馬車で魔の森の手前まで来た、ユリアンネ達8人。シャドウとフェザーの兄妹の2人も含めて、セルヴ大森林に実際に入るのは初めての者ばかりである。
「見た目は普通の森ね」
「だけど、これがとんでもなく大きいのでしょう?迷子にならないようにしないとね」
一緒に馬車に乗っていた他の冒険者3人は軽く会釈をして森に進んで入っていたので、追いかけるように中に入る。
街道ほど整備されたわけではないが、獣道よりは道っぽいものが出来ていて、それに沿って森の奥に進む。
「この道って、森の反対まで続いているわけではないのよね?」
「奥に行くとBランクどころかAランク魔物まで出てくるらしいから、そんなところに道の整備はできないよな。だから途中で道も消えるだろうし、あまり当てにしないで道なりに進むか」
「でもそれじゃ魔物にも遭遇できないんじゃない?」
「狩人の罠もこんな入り口近くには設置していないだろうし、適当に進んでみるか?」
ゾフィ達の話も踏まえて8人がぞろぞろと道から外れながら森の奥に進んでみる。いくら静かに歩いても流石に8人も一緒に移動しているからか、なかなか魔物に遭遇しない。入り口に近くて魔物が少ないのもあるのかもしれない。
一方で、久しぶりに自分達のペースで行動ができているため、ユリアンネはフェザーと一緒に見つけた薬草の採取なども行いながら進んでいる。
「あ、あれ!」
草むらに潜んでいるEランク魔物の蛇などを見つけることもあるが、直ぐに倒して小さな魔石と牙をとり出して皮を剥いで肉だけ取り分けておく。
「もっと肉らしいものを!」
ヨルクが期待するが、なかなか遭遇できない。
「やっぱりトリアンダンジョンみたいには、魔物と遭遇しないわね。メイユやアンハンの周りのオークとかは異常だったのね」




