金級冒険者エックハルト3
気軽に答えたエックハルトの発言は、クロリスやラインハートにすると重たい内容であった。この数十人の商隊規模であっても、その戦力では西側に降りてフスハレの街に到着するのが不安になる。
「その魔物が増えたのはいつ頃かわかりますか?フスハレの街の周りもそうだったのでしょうか?」
「増えた感じがしたのは、この山脈に差し掛かったところぐらいからですね。そのタイミングでさらに西側も魔物が増えたのか、この山脈だけなのか分かりません」
シグランの発言でクロリスは方針を決めたようである。すぐにラインハートと打合せを行い、全員でメイユの街に戻ることを発表する。
「エックハルトさんとシグランさんもメイユの街までご一緒して貰えないでしょうか。先ほどのワイバーン達の撃退へのご協力のお礼と合わせて、護衛報酬もお支払いします」
「この集団と合わせると遅くなるよなぁ」
「エック!」「いえ、大丈夫ですよ。もちろんご一緒します」
どうもシグランは本当に財布の紐の管理もしているようである。
「そうか、金級冒険者と銀級冒険者だったのか。流石に強かったな」
「でも何で流星槍って言うんだ?」
「何でも、あの槍の穂先は隕鉄らしい。空から降って来た隕石のうちでも鉄などが多く含まれたものをそう呼ぶらしい。だから流星なんだと。誰かがさっき噂していた。あの綺麗な格子模様、ウィドマンシュテッテン模様って言うのが証拠らしいぞ」
リーダー会議に参加したシミリートが仲間達に情報を共有している。
「流石に鍛冶職人ヨルクは、ドレイクの肉より隕鉄とやらに興味か?」
「そうだな。いや、ジモ、ちゃんとドレイクの肉も食わせてくれよ」
「分かったよ」「それと、あの大きな馬は、シャドウ達の馬と同じなのか?」
「あれも戦馬、バトルホースというCランク魔物を従魔にしているらしい。ワイバーン達も簡単に収納できる魔法の袋を持っているようにお金持ちなんだろうな。流石は金級冒険者」
魔物が溢れているという情報で不安になる気を紛らわせるため、いろいろな話をしている仲間達を横に、ユリアンネは精霊魔法使いという単語が気になる。風属性の緑色の魔法陣を直接見たことも関係している。




