モンヴァルト山脈の峠
それなりに見晴らしが良い峠道を少し横に広がって進んでいる何十人もの巨大な商隊。昨夜の上位ハイオークの襲撃の後は平穏であり、道も楽になって少し気が緩む。
そのような中、先方を警戒のために飛んでいた鷹、フィアが敵の存在をシャドウに伝えて来る。その旨を聞いたシミリートがラインハートに伝えることで、全員に注意喚起が伝達される。
「まぁ冒険者40人以上のこの巨大集団に敵う魔物なんてそうそういないだろうよ」
「昨夜の上位ハイオークも撃退できたからな」
警告された冒険者達も深刻には受け取らず、先程までとあまり変わらない体制で西へ進む。
ところが、自分たちでも目視できるようになると緊張が走る。
「あれって、ドレイク!?」
「地龍か!?またBランク魔物だぞ!」
「しかも複数?あっちにも。5体以上居るんじゃないのか!」
背中に翼もなく、空は飛べず4本足で地面をはって進む。しかし亜龍とはいえ龍の名がつくだけあり炎のブレスを撒き散らす、Bランクに相応しい強さがある。
ブレスで馬車を燃やされるわけにいかず、馬車を後方に残したまま、冒険者達が前方に出てくる。足が速い敵ではないので、弓矢や魔法など遠隔攻撃できる者から攻撃を開始し、盾役が前に出る。
平らとはいえそれなりに岩が転がっているため、近接攻撃をしない者やブレスを避けてドレイクの背中に攻撃を加えるために岩に登る者もいる。
しかし、しばらくすると悲壮な声が聞こえてくる。
「矢が刺さらないぞ!」
「剣もあまり効果がない!」
「火魔法に耐性があるようだ!」




