モンヴァルト山脈の入口3
小休憩で立ち止まっていたから狙われたのか、商隊の周辺にいくつかの方向からハイオーク達が集まって来たようである。
「シミ、皆!こっちにもハイオーク!」
別の馬車の馬の世話をするため少し離れたところに居た仲間達に、ゾフィは声をかけながら短弓を構えて直ぐに矢を放つ。ヨルクも背中から戦斧を取り出し構える。
順次駆けつけてきたシミリートとジーモントがそれぞれ盾を構えてハイオークに対峙する後ろでユリアンネが最近覚えた≪氷刃≫魔法を発動させる。森なので火魔法では類焼などが怖いからである。
盾役2人の横からヨルク、カミラが斧と片手剣でも攻撃しつつ、ゾフィの弓矢とユリアンネの魔法攻撃というトリアンダンジョンで慣れたいつものパターンが取れている。
他の冒険者達も適度に散開しており、元々のパーティー単位で撃退する方が効率的であるので、ラインハートも何も言わない。
近くを見ると、シャドウとフェザーの兄妹も2人でハイオークに対峙している。どうもフェザーに目をつけたハイオークが横からシャドウに山刀で攻撃されている感じである。鷹のフィアもハイオークの後頭部から攻撃して嫌がらせになっているようで、放置しても大丈夫に見える。
最初に声を上げた“優美なる冒険団”も、女性3人で2体のハイオークに対峙しているようであるが、ラインハート達“黒鉄の秩序”の6人や“無辺なる三芒星”の3人も近くにいるので大丈夫であろう。
もしも討ち漏らしたハイオークが居ても、クロリス商会が独自に雇用している護衛の4人の冒険者が対応するであろう。




