メイユの冒険者ギルド
護衛依頼主の商人達とは別れたが、アディーレやシャドウ達とは一緒に冒険者ギルドにまで向かう。そして依頼達成を報告して報酬を受け取るのと合わせて、オークの情報を伝える。その場には、途中で合流した商隊の方の冒険者達も一緒である。
「少々お待ちください」
慌てた受付嬢から会議室に移動するように言われ、それなりの人数が入り切るような部屋に案内される。
冒険者ギルドの事務職員である、受付嬢の上役らしき人物が会議室に入って来る。
「私はこのメイユの冒険者ギルドのフィデリオと申します。受付の者から、魔の森からオークが溢れた気配と聞きました。詳しく教えて貰えますか」
地元のアディーレや、合流して来た商隊の方でもベテランが、この街道の日頃との違いを踏まえた説明をしている。シミリート達はこの街道がはじめてであるため、横で聞いているだけになる。シャドウ達が同様なのはわかるが、ヘンドリク達も大人しい。
「結果としては、一昨日の夜に、この街道でオークが2ヶ所を襲撃したこと、昨日の昼間に街道の近くにオークの集団がいたということですね。確かにこの区間でオークの数がそこまでというのは珍しいですが、昨日は何事もなかったのですよね。一時的なものなのか判断つきませんね。ちょうど満月だったのもありますかね」
「その辺の判断は私らには分からないから任せるよ」
「はい、おっしゃる通りですね。お疲れのところ情報提供ありがとうございました!」
「まぁ危険回避はお互い様だからね」
「満月?」
ギルド職員が部屋を出たところで、シミリートがつぶやく。
「おや、そうか、あんた達は迷宮都市から出たことが無かったんだね。満月で増えた魔素は、トリアン付近ではダンジョンの構造改変に使われるらしいが、この辺りでは魔物が増えることがあるんだよ」
「そうだったんですね」




