メイユへの護衛再開
朝食の後は昨日と同じ役割分担でそのまま西に向けて出発する。
街道そのものは草原の中にあり、基本的には遠くも見えるため魔物の襲来も早めに察知できる安心感はある。ただ、昨夜のように太陽が沈んだ後の不安は残るのと、草原とは言っても起伏がないわけでは無いので、丘の向こう側に潜んでいる場合には気づくのに遅れてしまう。後者の場合は、馬の脚力を生かして逃げられる可能性はあるが危険ではある。
商隊メンバは、街道の横に作られた馬車を何台も停められる空き地で小休憩している。野営をこのような場所で行うだけでなく、昼食や小休憩もこれら休憩地で行うことで、街道に停めることによる行き交う他者への迷惑を回避するのである。
ユリアンネが出した水などを馬達にも与えていたところ、遠くから他の商隊が近づいてくるのが見える。
「今回の護衛では、メイユ方面から来る人に会うのははじめてね」
「それだけ魔物が問題になっているのかもしれないな」
シミリートと話していたユリアンネだったが、先方の商隊が休憩地にたどり着いて話した内容を聞くと深刻であった。
先方も馬車6台に護衛冒険者10人のそれなりの規模であったにも関わらず、昨夜にオークの襲撃を受けたらしい。相手の多さに戦うことを選ばずひたすら逃げることに専念したということで、馬車は3台に減ったが死者は居ないとのこと。
「少しでも荷物を取り返したいんだ。同行して欲しい。それにそちらの話を聞くと、このまま東のコルバックに向かっても、また夜に襲われる可能性があるのだよな。メイユに向かうのに一緒に行かせてくれ」
先方の商隊には回復魔法の使い手どころか魔法使いもいなく、ポーションも使い切っていたようで、幾らかの怪我人が居た。費用を払うと先方の商人に言われたこともあり、ユリアンネ作のポーションをシミリートが窓口になってやり取りして治療を行っている。
その横で、商人達の協議の結果、少しでも人数が多くなった方が野営の危険が減るとの期待があり、西のメイユ行きに同行者が増えることになった。




