2度目の護衛完遂
想定外の依頼主に戸惑い続きの1日目であったが、その夜の野営は無事に過ごせた。
翌日も早い段階で森を抜けて周りが草原になったことで、森狼による襲撃もなくなり、その後は楽な護衛業務となる。
街道近くの草原に居る魔物は、角兎程度でありわざわざ馬車の商隊を襲いには来ない。見晴らしの良いこの草原では盗賊の出現も無いようで、その日の夜の野営までも問題は発生しなかった。
昼食、夕食それぞれでは森狼の肉も減ったのと飽きたのもあり、近くのホーンラビットを狩って食事に変化をつけることも出来た。
平坦な安全な道であり、御者や騎乗も交代することで、6人それぞれが経験を積める良い機会でもあった。
依頼主の態度も慣れてしまえばそのようなものだと割り切れたので、夕方に川を渡ったところにあった街コルバックに到着するまで何とか我慢することが出来た。
城門に入ったところで依頼完了サインを貰って別れるのが普通と聞いていたのに、馬車2台を指定の場所まで運ばされたことには、相変わらずだとため息が出たが、街中での御者経験を出来たと無理矢理考える。
そのサインを持って冒険者ギルドに行く。モンブロワでもそうだったが、トリアンのギルドに比べて小さな建物である。街の規模が違うので自然とそうなるのであろう。
護衛依頼の報酬、そして森狼などの納品代金などを貰い、ここでもギルド紹介の宿で部屋を取り、馬を預けて一息をつく。
「色々とあったけれど、良い経験になったんだよな?」
「まぁ横柄だけれど、自分自身を含めてお金に厳しい人だったんだね。無駄なお金を使わない商人の典型だね」
「走らせる等はできないけれど、何となくの御者と騎乗ができるようになったのは成果かな」
その日も屋台で夕食を取った後は早めに休み、翌日からコルバックの街の散策をすることにした。もちろんその先の護衛依頼の募集状況の確認も忘れない。




