2度目の護衛依頼3
前回の護衛依頼の時には、護衛中に倒した魔物が冒険者達の収入になる上に、その死体も荷馬車に積む許可は貰えていた。というか、依頼主が買い取ってくれた。
今回は確かに荷馬車には荷物がいっぱいだったのもあるが、載せる許可も貰えないし、買取もしてくれないようである。
仕方ないので一旦はユリアンネ、シミリート、ジーモントの魔法の収納袋に可能なところまで入れることにした。魔石以外には、痔の薬になる直腸、めまいや片頭痛などの薬になる肝臓など薬剤になる部位、討伐証明になる耳、ゾフィが皮革加工のために欲しい尻尾や無傷で大きな胴体の毛皮、カミラが工芸として細工するための牙や爪を簡単に取り分けておき、それ以外は森の中に投げ捨てていく。
そして血生臭い戦闘場所からある程度移動したところで昼休憩を取ることにした。
「え!?水樽は無いのですか?」
「水属性の魔法使いが居ると聞いたから、その分は別の荷物を積んでいるぞ」
「……」
途中の小休憩のときには、馬達へも確かにユリアンネが出した水を与えていたが、まさか全く積んでいないとは……
「馬には魔法の水と、そこら辺の草を食わせるのだぞ。お前達の食事はこれだ」
渡されたのは固いパンと少しの干し肉だけである。護衛中の飲食は依頼主が負担する契約ではあるが、その品質までは明記していない。確かに旅なのでそこまで贅沢なものを希望はしていないが、前回との落差が大きく気落ちする。
ただ、ユリアンネが依頼主ドミニャスの水筒に水を足しに行ったときに目に入った限りでは、その彼も同じ食事内容である。冒険者達にだけ嫌がらせやケチっているわけではないようであった。
ヨルクが目配せしたシミリートとジーモントは意図を理解する。
「我々に少し調理するお時間を頂ければドミニャスさんにもご提供致しますが」
「お金は払わないぞ」
もちろんですとシミリートが返事をし、ジーモントが先ほどの森狼の肉を調理することで、オークほど美味しくは無いが干し肉よりは温かくて美味しい昼食になり、何とかヨルクの機嫌悪化もおさえることができたようである。




