森の街モンブロワ
シミリートが聞いてきた刺客2人の話を聞いて微妙な空気感になるが、
「何いっているの。盗人にも三分の理、とは言うけれど、こっちは被害者よ」
というカミラの発言でハッとする。
「そうね。そうよね」
そこでその話は終わり翌日からの予定について相談する。
迷宮都市トリアンからはたった2日の行程ではあるが、せっかく知らない街に来たので各々の職業に関する見聞を広めるため、散策をする予定である。
西に向かう護衛依頼の予約だけはしておき、その出発までの間にあちこちを見てまわることにする。
単独行動は危険なため、翌朝には3人ずつの組に分かれる。女性の買物もあるというカミラの言い分で男女3人ずつである。
女性冒険者の先輩であるランセリアから聞いた話を共有したかったらしい。酔ったフリで狙いの男性を落とす方法、女性の日の誤魔化し方、さらには化粧のコツなど。
前世でも大学生になる前の受験生までしか生きていなかったのでユリアンネにとっても具体性のある知見であった。
その女性班は、まず魔道具屋でリリアンナが使った短剣の鑑定をして貰い、遅効性のある麻痺の魔法効果であると教えられる。使い所が悩ましいのでまずは魔法の収納袋にしまっておく。
この規模の街では書店はあまり無いとの話であり、そこには期待せず、工芸屋、皮革屋、服飾店、薬屋などを手当たり次第にまわっていく。
何とか見つけた書店では魔導書は無く、価値のありそうな専門書の類もほとんどなく、客も少ないからか展示方法に工夫もないところばかりであった。薬屋も、贔屓目もあって父ラルフの“木漏れ日の雫亭”より見劣りするところばかりであり、自身で調合するための薬草だけ購入するにとどめていた。
カミラとゾフィはそれぞれ展示品や展示方法に気づきが得られた店もあったようで、満足はしているようであった。ユリアンネは2人に羊皮紙と羽根ペンを提供して、メモに書き取らせている。




