はじめての護衛依頼2
朝にトリアンを出発して半日、間に2度ほどの小さな休憩時間はあったが、今度は大きな昼休みである。
護衛としてはあまり役に立てていない“選ばれた盟友”の6人は率先して雑用をこなす。小休憩の時には馬に与える水を用意したり、今回は温かい食事にするためのかまどの用意をしたり、皆の飲み水の補給などである。
水の用意に関しては慣れたユリアンネが魔法で行い、料理に関してはジーモントが行なっている。
それぞれ人付き合いはそれなりにこなせるため、御者台で隣になった御者とはある程度打ち解けただけでなく、これらの行動のおかげで他の冒険者達からの受けも良い。
「ここは見晴らしの良い草原で盗賊は出てこないし、魔物も弱いものしか居ない場所だからこの人数の集団を襲いには来ないが、午後は森の中を通るから気を付けるんだぞ」
「そうなんですか?」
「あぁ、そうは言ってもDランクの森狼程度だが、あいつらは集団で襲って来るから注意が必要だ。まぁこの数の冒険者が居れば撃退も簡単だろう」
「流石はジョエタンさん。後輩冒険者の面倒も見られていますね。ただ、今回の荷には肉も多くその匂いに釣られて来るかもしれないので、皆さん気をつけて下さいね」
商人のプリアメデが一応の注意喚起をして来る。
「ダンジョンだけの経験であったのならば、地上、外の世界での対処は不安だろう。俺たちが合図をするまでは攻撃をしないように、な。見つけた魔物を全て攻撃していたら矢数も足らなくなるし、適当に逃げ切るのも大事なことなんだ」
サブリーダーのアルフィルも補足でアドバイスをしてくれる。
ヴァレアンとリリアンナの2人は会話にも入って来ず、2人だけで食事をしている。ユリアンネとしては初めて見る冒険者の女性魔法使いであり話をしてみたいのだが、機会が無い。




