Interlude 化け猫コンビは今――
その頃――。
アイスローズ&化け猫コンビはどこまで行ったのだろうか?
「一昨日より今日まで、新規登録した冒険者の顔……ですか。少々お待ちください」
ギルドの応接室に呼びつけられた職員数名を前に、アイスローズは捜索対象の特徴を書いた紙を広げてみせた。
「金髪碧眼の冒険者はいました。筋骨隆々の腰までの三つ編みのオッサンで……」
「聖職者の方もいましたね。珍しい髪色でしたよ。七色のモヒカンなんてそうはいません」
「若い女性もいましたよ。茶色の髪で得物は鉈で。顔は包帯でぐるぐる巻きでわかりませんけど、ワケありっぽかったですね」
ギルドカードはあらゆる街に出入り自由、信頼の証……のはず。なんでこんな怪しげなヤツらに発行しているのか。特に三番目の女はダメだろう!
「……彼らの滞在先を教えてください」
アイスローズたちがいるのは、カストラムという城塞都市。王都から東へエルナト街道をまっすぐ進めば、馬車なら一日半くらいでたどり着くことができる、街道の分岐点にあって、比較的大きな街だ。人口も多く、潜伏候補地にあげたのだが。
「フニャ~、ここには臭いがないのニャー」
旅行者が必ず通る街の二ヶ所の入口を化け猫に嗅がせたが、反応はなかった。つまり、ここにいる可能性は低い。
(馬での移動を想定しましたが。翼のある男……どこまで行けるものでしょうか)
例えば伝書鳩なら、一日に数百キロルを飛ぶ。
(さすがにそれはないですか。翼の生えた人間に近い……ハーピーは鳥よりはるかに鈍重ですし)
なお、ハーピーとは上半身が人間の女で下半身が鳥という魔物で、身体が重いために飛ぶのは遅い。馬と競争させたら、ぶっちぎりで馬が勝つ。
「ニャ~~、お腹減ったのニャー」
ギュゴゴ~~! と盛大に腹を鳴らす化け猫の口にジャーキーを突っ込み。
「ンニャ?? なんかいつもとちがう……ハムハムハム……」
アイスローズは領主の館に足を向けた。
(ともかく、ここから各方面に手配書を撒きましょう)
カストラムからなら、近隣の主要都市に手配書が届くのに一日もかからない。街の役人方が取り逃がしたとしても、手がかりさえ掴めればこちらのものだ。




