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エピローグ
「話を聞いて一緒に悩むくらいはできるわ」
すっかり眠ってしまったリディアを抱いて、ジーンは彼女の言葉を反芻した。
「一緒に……?」
あの言葉の後に、彼女は何と言おうとしたのだろう。
「温かい……」
手袋を通じて、彼女の温もりが伝わってくる。自分がとうに喪ったもの――。
『あのとき』――己が斃れた日。
「もう二度と、こんなことにならないように」
〈魔女〉は目覚めた彼に言った。
地を這う人間には決して手に入らない〈翼〉を背に。もう二度と、〈我が子〉が傷つけられることのないように。
代わりに――。
〈子〉はその身体から〈温もり〉を喪った。




