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翼の勇者  作者: た~にゃん
第一部 鳥籠の外へ
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エピローグ

「話を聞いて一緒に悩むくらいはできるわ」


 すっかり眠ってしまったリディアを抱いて、ジーンは彼女の言葉を反芻した。


「一緒に……?」


 あの言葉の後に、彼女は何と言おうとしたのだろう。


「温かい……」


 手袋を通じて、彼女の温もりが伝わってくる。自分がとうに喪ったもの――。







  『あのとき』――己が斃れた日。


「もう二度と、こんなことにならないように」


 〈魔女〉は目覚めた彼に言った。


 地を這う人間には決して手に入らない〈翼〉を背に。もう二度と、〈我が子〉が傷つけられることのないように。


 代わりに――。


 〈子〉はその身体から〈温もり〉を喪った。

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