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月の見えない夜


 明日もし世界が終わるなら

 誰と今日を過ごしたい?

 そう問われて

 誰も思い浮かばなかった


 寒くて強い風が吹き

 雪が顔に当たって痛い

 痛いのは雪のせいだけでなく

 寒さのせいでもある


 月の光も

 星の光も見えないが

 風を避けて入った軒下から見上げた

 曇り空は妙に明るい


 誰かと酒を酌み交わすことも既になく

 人気の絶えた道で 

 電信柱で風を避け

 月の見えない空を見る


 たとえ今が最後の夜だとしても

 この時間にはそもそも見えない月を

 来週あたりは見ようと

 そう思っていよう

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