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冬のアーケード
八月の七夕が近くなって
アーケードが飾りつけられていた
灯りの減らされた遅い時間だったが
珍しく人がそれなりにいた
願いが書かれた短冊
店の名前や学校の名を書いた飾りを
眺めながら自転車を押した
それから3ヶ月が過ぎ
そろそろ雪も降る時季になった
叶った願いはあるのだろうか
廃業した店の跡地は
地下室だった部分にまだ水がたまっていて
小さな池になっている
かつて多くの人が行き交い
自転車を降りて歩いた
今は自転車を降りて歩くのは自分ぐらいで
よく利用した自販機は
七夕の頃から変わらず
売り切れのランプがついたまま
アーケードに遮られ弱くなった風が
コートの裾を微かに揺らした




