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ねむの木2
葉書を出しにポストへ行った
いつも行くポストには行かず
二番目に近いポストへ行った
少し歩きたかったから
信号を渡り、歩く
視線を下から前に
そうすると
薄い花の色が目に入った
合歓の花
意外に近いところで咲いていた
近いけれど年に数回通るだけ
そんな場所だった
雨と雨の間の曇った空の下
湿気が強く暑い空気と
先行きの不安
そんななかだった
しばらく前に
遠くに幸せを求めるように
合歓の花を見に
少し離れた場所に行った
思い出に残るねむの木は
もう伐られていたから
咲いていた花を見て
懐かしく美しいと思った
もう届かない記憶の中の花があり
少し遠くにもねむの木があり
近くて気付きにくいところにも
ねむの木はあった




