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駅2
私鉄を降りて旧国鉄の駅へと
地下道を歩いて階段を上った
券売機は新しくなり
入場券を買うのに
しばらく時間がかかった
売店で酒と握り飯を買い
ホームへの階段を降りた
どこか遠くへ行く列車
三番線のベンチから眺めた
いつか乗る日は来るだろうか
だいたい二十年前
やはり入場券を買って京都駅
ゼロ番ホーム
ビールも握り飯も買う余裕はなく
乗れない電車を眺めていた
ビール一本
握り飯二つ
飲み終わる前に電車は出ていった
人のいないプラットホーム
今も昔もどこかへ行くあてはない
未来への不安に疲れた時
駅のホームへゆく
電車のきしむ音を聞き
ベンチに座って
しばらくぼんやりして
また歩き出す




