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花見
4月中旬
桜の花が満開になった
桜よりも夏の合歓の花
春の街路樹の新緑
そんなものの方が好きだが
それでも心が浮き立ちはする
仕事の帰り
酒でも買って深夜の公園
独りで花見をしようか
そう思いはしても
街灯の消えた公園で
花は見えない
花見らしい花見
最後にしたのはいつだったか
数年前の5月の連休
散りかけの山桜
低い山に登って
独りで眺めた時だろうか
いつしか里の桜は散りつつあり
夕方公園に行けば
桜よりも
地面に生えたペンペン草
その白い花に心を奪われ
朝方眺めた桜は
葉桜の新緑が美しい
桜
本当はいつか見に行きたい
今では遠くなりつつある
保育園に通っていた頃の
近所で集まって眺めた
あの桜
もう伐られてしまったけれど




