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冬の終わりに
まだまだ寒い3月の初め
朝方はまだ
窓ガラスの水滴が凍っていた
そんな日の夕方
坂道を上り
階段も上り
神社に行った
境内から見下ろす街
少し前なら
もう街の灯が
見上げたなら冬の星が
きらめいていただろう
けれど今は
西日が建物を染めている
あと何日もしないで
高校は入学試験
下見に行って雪の中に
小さな花を見つけた
そんな自分の入学試験からは
いつの間にか長い時が過ぎ
境内の枯草の下にも
柔らかい緑の草が
ひっそりと萌え出ている
時の流れが早くて
冬の終わりの夕暮れも
あと何日も見られない
季節の終わりは
いつも美しくて
そして
さみしい




