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学年代表リレー

結構大げさに表現してます。


 午後の部を迎えた俺たちは再びテント下へと戻ってきていた。


「位置についてよーい」パンッ!!


 たった今ピストルの音と共に走り出したのは、それぞれの学年の代表者達だ。

 チームは5つに分かれていて、1組から5組のクラスごとになっている。ただ、普通の競技と違うのそのチームの中には1年から3年までの生徒、及び男女が混在しているということ。

 各、学年から男女でそれぞれの代表を1ずつ選出し、1チーム6名による200メートルリレーとなっている。


 ちなみにうちのクラスからは男子の代表は斗真、女子の代表は天音さんだ。


 そして、俺たちのチームの最初を走っているのは、まさにその天音さんだった。


 他のチームは男子生徒を先頭にもってきているのにも関わらず、うちのチームだけは女子である彼女を走らせている。

 見る限りは明らかに不利だと思った。


 しかし、驚くほどに天音さんの走りは軽快だった。

 

「天音のやつスゲェな……」

 俺の斜め後ろに居た、白井が感嘆の声を漏らしていた。


 流石に全クラスの男子を抑えて1番とまではいかなかったが、他の男たちに殆ど遅れをとることなく前から4番目の位置に付けていた。


「雪ちゃん、頑張れー!!」


 しかし、外野からそんな声が聞こえたかと思うと、残り50メートル地点でスピードを上げ、3位の位置までもってくる。

 更には、2位の生徒との距離をかなり縮めて次の生徒へとバトンを渡した。


「うおぉぉ!」

 会場に大きな歓声で包まれる。


 流石は3大美女と名高いだけはあるな……

 他学年、他クラスの生徒達からも黄色い声援があがっていた。


 やべぇ、天音さんカッコ良すぎるんだけど。

 それにしても姉さん効果あり過ぎないか?あれは最早一種のドーピングと変わらない気がする。


「うぉぉおお、流石は我らの天使だぁ!」


 同じクラスの中山君はテンションが上がり過ぎた結果、両手を自分の前に組んで、他の人よりも遥かに大きな声でそう叫んでいた。

 

 気持ちはわかるけど、ここじゃ五月蝿いから黙ろうね中山君!


「黙れ中山!」


「ひぃっ!悪かったよぉ」


 いつも小藤と一緒にいる荒川に椅子を蹴られて、中山君は一瞬にして大人しくなった。

 なんというか教室での立ち位置がよく分かる光景だと思う。


 天音さんの次の走者は3年生の男の先輩だった。

 他クラスはここで女子生徒を準備してきていた為、俺たちのチームが一気に1位へと躍り出る。


 そして、2位のクラスとそれなりの差をつけて第三走者へとバトンが渡った。


 続いての1年男子、3年女子の代表者の走りでは2位につけている1組との差は殆ど変わらなかった。そして、そのまま5走目の1年の女子生徒へとバトンが繋がれた。


 後2人か、斗真も残ってることだし、このまま逃げ切れそうだな。

 そんな甘い考えを持った時、またしても大きな歓声が上がった。どうやら3番目の位置につけていた4組の第5走者の女子生徒に関係があるようだった。


 彼女の名前は紫峯崎(しほうざき) アリサ、天音さんと並ぶ3人の美女のうちの一人だ。

 金色の髪に日本人離れしたスラっと伸びた手足が印象的な女子生徒である。確か日本とフランスのハーフだとか、そんな噂を耳にしたことがあった。

 

 身長は175センチくらいはあるなぁ……

 その上、頭はかなり小さい。一体、何頭身くらいなんだろうか。


 そして、いよいよそんな注目株である、彼女へとバトンが渡る。

 

 次の瞬間、突風が目の前を通り過ぎた。


 速っ!?


 彼女は力強く地面を蹴り上げて、チーターのごとく前進していく。

 前にいる二人が女子生徒であったことも関係して、彼女の脚の速さが一段と目立っていた。


 もしかすると天音さんといい勝負……いや、それ以上かもしれないな。


 みるみるうちに前との距離を詰めて、ついには2位だった1組の生徒を簡単に追い抜いた。

 

 そして、そのままの勢いで俺たちのクラスの1年女子との距離もあっという間に失くしてしまった。


 それから間もなくして、順番が入れ替わってしまう。

 決して1年の生徒が遅かったわけじゃない。彼女だって十分に早かったはずだ。

 それなのに……あんなの反則だろ。


 会場が湧き上がる中、俺たちのテントは鎮まりかえっていた。


 だが、俺は誰もが絶望感に満ち溢れていたそんな中、あの男のことを信じていた。


「斗真先輩、ごめんなさい」それから少し遅れてやってきた一年の女子が泣きそうな表情でバトンを渡した。


 ついに斗真がバトンを握る。


 斗真が走り出していた為、ちゃんとは分からなかったが「後は任せろ」斗真の口はそんな風に動いていたように見えた。


 そしてそこから一気に加速した。すると今度は俺の目の前を光が走ったような気分に陥ってしまう。


 もちろん、それは斗真だった。

 それから、先ほどの紫峯崎が稼いだ距離を電光石火のごとく詰め寄っていくと、その姿に興奮した白井が「いけぇぇ斗真!」遂に吠えた。


 その余りの声の大きさに、俺は一瞬耳鳴りに襲われてしまうのだった。

 だから五月蝿いってば……

 しかし、白井が中山君のように蹴られるようなことはなかった。


 ……まぁ、それは置いとくとして、斗真は明らかに1年前よりも速くなっているよなぁ。


 ここまでくるともう、化け物と呼ばれる存在にはなったのではないだろうか。俺はそんな親友の後ろ姿を見つめていた。


 それから、斗真はグングンと距離を縮めて4組のアンカーである3年男子をゴールテープ直前でぶち抜いてしまう。


 ああ、親友はどこまで行ってもイケメンな訳だ……


 斗真がゴールテープを切ったあと、会場はその日1番の盛り上がりを見せるのだった。

ブクマ100!ありがとうございます。滅茶苦茶嬉しいです!ストックがある訳じゃないので流石にこのペースでの更新は続かないと思います。


〜 一言 〜

 もう少しテンポの良い作風の方がいいのでしょうか?

ランキングに載ってる他の作品と比べると……(T ^ T)

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