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あの日の約束

区切りをつけたかったので短めになります!



 二人三脚を走り終えた俺たちは再び自分の席へと戻っていた。東雲とは少し席が離れているため自然に分かれるカタチとなる。


 しかし、暫く経った今でも俺の心は未だに熱を帯びていた。

 二人揃ってあのゴールテープを切った瞬間が堪らなく気持ちが良かったのだ。

 

 あれだけ練習もしたんだから達成感があるのも当然だよな。

 俺は感慨深くそんなことを思った。


 恐らく、東雲も同じ気持ちじゃないんだろうか……


 そんな時、珍しく学校で斗真に声をかけられる。


「碧、さっきの走りホント良かったよ。……それでなんだけど、少し向こうの方で話でもしないか?」


「……分かった」


 東雲の方を気にしてる仕草を見せていたことから、彼女には余り聞かれたくない内容なのだと推測出来た。


 それから俺たちは人気の少ない校舎裏までやってきていた。斗真は周囲を軽く確認してから、俺に対して深く頭を下げた。


「碧、本当にありがとう……風花のあんな表情が見れて正直、ホッとしたよ」


 斗真は心の底から感謝の気持ちを伝えてくれる。そんな彼の表情はとても柔らかかった。


 ホントに東雲のことが心配だったんだろう……

 俺はそんな親友の姿を見て、そろそろ頃合いだと考えた。

 

「なぁ斗真、俺との約束覚えてるか?」


「ああ……」


「あくまでも俺の知ってる範囲での話にはなるが、東雲は随分と変わったよ」


 自分で言っておきながら、かなり上から目線の意見だと感じた。

 でも、斗真にもちゃんと知ってて欲しいと思った。


「俺もそう思う」


 俺の意見に斗真は直ぐに頷く。

 やはり、遠目からでも彼女のことを見てきたんだと感じた瞬間だった。


 だからこそ今、言わせてもらう。


「東雲はあんなことはもう二度としないって、短い期間だけど彼女をそばで見てきた俺が保証する。

 だから、そろそろ仲直りしてやってくれないか?」


「……」


 暫く斗真は何も答えなかった。

 ただただ目を瞑って何かを考えている。


 そこにどんな想いがあるのかは俺には分からなかったが、俺は彼の返答を黙って待ち続けた。


「分かった。

 この体育祭が終わったら、一度風花と話してみるよ。それが碧との約束だったし、俺もこのままでは居たくないから。

 それで碧……俺に協力してくれるか?」


 斗真は俺に手を差し出した。

 そして、その手が少し震えてることに俺は気づく。


 斗真にもこんな弱い一面があったのだと少し驚かされた。

 基本的に何事完璧にこなしてしまう斗真だから、俺は彼のことを普通の人間とは違った超人だと勘違いしていたのかもしれない。


 でも今日、はっきりと分かった。斗真も俺と同じように弱さを抱えた一人の人間なのだと……


 俺はそんな斗真を手を強く握ってから答える。


「……任せろ。二人が話し合う場所くらいは何とかして俺が用意するさ。絶対に誰にも邪魔はさせないから、全力でぶつかってきてくれよな」


 二人の関係が少しでも改善することを願うばかりだ。


更新速度もう少し遅くする予定です。


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