アトリエ
オレは小学一年からアトリエに通ってて絵を上達するために頑張ってたんですよ。
まあこのアトリエって前に公園はあるし、近くに駄菓子屋があるし、土地的にいい場所だったと思う。
最初は火曜日に行ってたんだけど、女だらけでつまんなかった。
火曜日に来たとき、見知らぬやつがいるなと思ったら、クラスのやつだったので話しかけたんです。
「おう、おまえも行ってたのか」
友達は言った。
「けっこうまえから来てたぜ。幼稚園から来てたな」
「へえ」
「おまえも木曜日に来いよ」
「行けるのか」
「おう、オレも行った」
「じゃあ、行くか」
というわけでオレも木曜日に来ることになった。
オレが木曜日に来てからは毎週が楽しかった。
話したり、ふざけたりして楽しかった。
休み時間が特に楽しかった。
公園でばかばっかしてた。
小3になった。オレと友達はクラスが別れてしまった。
友達のクラスの担任は見るからに話が短そうだったが、オレの担任はすごく話が長い長い。校長より長い長い。
おまけに意味なく時間にルーズ。
あっ、アトリエの開始時間は3時30分です。
これを言わなきゃ後から意味がわかんないから。
学校でおなじみの帰りの会を3時に始めたし、おまけにこんな話をしやがった。
「私ね、昨日の夢で大きなたこに襲われる夢見たんですよ」
いや、知らんよ。
あんたの昨日の夢なんか知らんよ。
いいよ。帰りの会で昨日の夢の話なんて、なんの得になるんだよ。まったく。
おい!早くしろ!
「足で叩かれそうになったところを、赤ちゃんに助けてもらったのよ」
いいって!赤ちゃんなんかいいって!だから!早く終わらせろ!おい、隣のクラスなんかもうさようならって言ってたぞ!
「メロンパン初めて買ったんだけど、あれ旨いよね」
知らん!終わらせろ!オレはあと10分でアトリエなんだ!
「頑張って!あと10分で終わるから」
いや、間に合いませんからー残念!
ああ!3時30分!
「それより、大切な話があるんです」
いやたこの前に言えよ!ああ!
オレはいつも走ってかえっている。
オレは母ちゃんが免許持ってないから迎えにいけないんだ。ああ。
雨の日なんか最悪なんだ。たまにこける。
そして、オレはいつも遅刻している。
後一つは絵の具のことなんだけど、絵の具ね、すぐなくなるの。
前なんかね、赤と青しかないの。
使える色は赤と青と紫と赤紫と青紫とグロい色しか出来ない。
その時の課題は
「自然」
。緑なきゃ出来ないし。まじ困る。
でもマンガが借りれるんです。
なぜかサザエさんのレパートリーが多いんですよ。
まあ、いろいろあってオレはアトリエをやめた。
友達は超ショックな顔をしてた。
オレがやめても、あの先生は話は長かったけどね。




