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サクラブストーリー  作者: 桜庭かなめ
特別編8-お泊まり女子会編-

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199/202

第4話『寝間着姿でビデオ通話』

 お風呂から出た私と一紗ちゃんと杏奈ちゃんは、リビングにいる純子さんと大介さんにお泊まり女子会メンバーはみんな入浴したことを伝えて、2階にある一紗ちゃんの部屋に戻った。

 部屋に戻ると、青葉ちゃんと二乃ちゃんと和奏ちゃんと百花さんがアニメを観ながら談笑していた。4人とも好きなアニメなので話が結構弾んでいるらしい。

 私はドライヤーで髪を乾かしたり、スキンケアをしたり、ストレッチをしたりとお風呂上がりにいつもやっていることをしていく。一紗ちゃんや杏奈ちゃんも近くでやっているし、アニメを観たり、みんなと喋ったりしながらだったので、楽しくすることができた。

 私と一紗ちゃんと杏奈ちゃんのお風呂上がりのルーティンが終わると、


「みんな寝間着姿になりましたし、写真を撮りませんか?」


 と、青葉ちゃんが提案してきた。寝間着姿になるのはお泊まりらしいし、写真を撮るのはいいかも。

 青葉ちゃんの提案にみんな賛成し、スマホでみんなの寝間着姿の写真を撮った。その写真はグループトークで共有した。

 写真を撮った後は、みんなで持ち寄ったお菓子を出して、それを食べながら7人全員が好きなアニメを第1話から観始める。

 ちなみに、観ているアニメは少女漫画が原作のラブコメ作品。主人公の女の子が可愛いとか、意中の男の子がかっこいいとか、ここのシーンにキュンとなるといった話で盛り上がりながら観ていく。

 ――プルルッ。

 第1話を見終わった直後、私のスマホが鳴った。

 さっそく確認すると……LIMEを通じて、ダイちゃんから新着メッセージが届いたという通知が。それを見て胸が躍った。

 通知をタップすると、LIMEのダイちゃんとの個別トーク画面が開き、


『みんなと一緒にお泊まり女子会楽しんでるか?』


 というメッセージが表示された。

 メッセージという形でも、ダイちゃんから言葉をかけられたことが嬉しい。春休みにダイちゃんの家に引っ越してきてからはダイちゃんと一緒にいることが日常になって、夜にダイちゃんと離ればなれになっている状況なのが初めてだから。頬が緩んでいくのが分かった。


「文香、どうしたの? スマホを見ながら笑って」

「ダイちゃんから『みんなと一緒にお泊まり女子会楽しんでるか?』ってメッセージが来たの。それが嬉しくて」

「なるほどね、そういうことか」

「恋人からメッセージが来るのは嬉しいわよね、文香さん」

「うんっ」


 青葉ちゃんと一紗ちゃんの言葉もあり、嬉しい気持ちが膨らんでいく。


「ねえ、みんな。提案なんだけど、大輝と羽柴君とビデオ通話してみるのはどうかな? この前、フミちゃん達が海水浴に行ったとき、みんながビデオ通話してきてくれて嬉しかったし、楽しかったから」


 和奏ちゃんが明るい笑顔でそんな提案をしてくる。

 先日行った海水浴では、和奏ちゃんと百花さんは期末試験の勉強をしたり、最終レポートを作成したりするために一緒に行けなかった。当日、和奏ちゃんが『動いている水着姿の水着姿を見たい』と言ったのをきっかけで、和奏ちゃん、百花さん、ダイちゃんのスマホを使ってビデオ通話をしたのだ。


「和奏ちゃんの言うこと分かるよ。あのビデオ通話は楽しかったし、試験勉強やレポート作成のいい休憩になったな。いい案だね、賛成」


 海水浴でのビデオ通話を思い出しているのか、百花さんはニコッとした笑顔に。

 百花さんが共感し賛成してくれたからか、和奏ちゃんの笑顔が嬉しそうなものに変わる。


「みなさんさえ良ければ、私はかまいませんよ」


 私も賛成する。ダイちゃんとはもちろん、羽柴君とも画面越しでも話せたら楽しいだろうし。


「素敵な提案ですね、お姉様! 2人と通話したいです。あと、大輝君の寝間着姿を見たいです」

「あたしもしたいです。大輝先輩と羽柴先輩さえ良ければですが」

「面白そうですね、和奏先輩! あたしも賛成です!」

「速水さんと羽柴さんとお話ししたいです!」


 一紗ちゃん、杏奈ちゃん、青葉ちゃん、二乃ちゃんも賛成した。


「じゃあ、みんなでビデオ通話したい旨をダイちゃんと羽柴君にメッセージしてみますね」


 私はダイちゃんには、


『楽しんでるよ、ダイちゃん。あと、この前の海水浴みたいに、ダイちゃんと羽柴君と私達7人でビデオ通話したいなって思ってて。どうかな? ちなみに、私達7人はみんな賛成してます。羽柴君にも訊いてみるね』


 と送信し、その直後に羽柴君には、


『こんばんは。今、お泊まり女子会中なんだけど、羽柴君とダイちゃんと私達7人でビデオ通話したいなって思ってて。海水浴のときみたいな感じで。どうかな? ダイちゃんにも訊いてみるね』


 というメッセージを送った。

 羽柴君へのメッセージを送った直後、ダイちゃんから返信が届いたと通知が。


『楽しめているなら良かった。あと、ビデオ通話面白そうだな。俺はいいぞ』


 という返信が届いた。ダイちゃんはOKか。良かった。『了解!』という文字付きの猫のイラストスタンプを送った。

 スタンプを送った直後、羽柴君から返信が届く。


『俺はかまわないぜ』


 という返信が届いた。羽柴君もOKか。これでビデオ通話ができる。ダイちゃんと同じ了解スタンプを送った。

 私はダイちゃんと羽柴君と自分がメンバーのグループトークを作り、そのグループ全員でのビデオ通話をかける。

 電話をかけてすぐ、画面半分ずつに寝間着姿のダイちゃんと羽柴君がそれぞれ表示された。


『おっ、映った。こんばんは、サクラ、羽柴』

『こんばんは、速水、桜井』

「ダイちゃん、羽柴君、こんばんは」


 私達はそう挨拶して、手を振り合う。

 一紗ちゃん達にスマホを渡して、それぞれダイちゃんと羽柴君に「こんばんは」と挨拶をする。また、一紗ちゃんはダイちゃんの寝間着姿を見て「似合ってるわっ!」と興奮していた。

 みんな挨拶をして、私にスマホが戻ってきた。


「急にグループ通話を提案したけど、2人とも出てくれてありがとう。ちなみに、発案者は和奏ちゃんね」

「あたしでーす」

『姉さん発案だったのか。みんなの姿を見られるのが嬉しいから電話してくれて嬉しいよ。海水浴のグループ通話も楽しかったし』

『面白かったよな』

『ああ。……サクラ達は今、何をしているんですか? 見たところ、みんな寝間着姿なのでお風呂を入った後なのは分かりますが』

「みんなお風呂に入って、今はお菓子を食べながらアニメを観てる」

『そうなんだ。それは楽しそうだ』

『みんなで観るアニメもいいよな。キャラとかシーンとかで感想を言えるし』


 ダイちゃんと羽柴君は落ち着いた笑顔でそう言ってくれた。


「ダイちゃんと羽柴君って今は何してた?」

『俺は部屋のベッドで寝転がりながらラノベを読んでた』

『俺はアニメを観てたぜ』

「そうなんだ。それぞれ2人らしいことをしてるね」


 ダイちゃんも羽柴君も二次元コンテンツは大好きだからね。それぞれ好きなことをして過ごしていて何よりだ。


『サクラからはお泊まり女子会を楽しめてるってメッセージが来たけど、みなさんはどうですか?』

『おっ、それは俺も訊きたいな』

「分かった。……じゃあ、みんなそれぞれ言っていきましょうか」


 先ほどと同じく、一紗ちゃん達にスマホを渡しながら答えるスタイルに。


「とても楽しめているわ。あと、文香さんと杏奈さんと一緒にお風呂に入って気持ち良かったし、至福のひとときだったわ!」

「あたしも楽しめています。夕ご飯も美味しかったですし、先輩方と一緒に入ったお風呂も気持ち良かったですし、アニメも楽しめていますから」

「すっごく楽しいよ! 夕ご飯のすき焼きが凄く美味しかったよ! 一紗と一緒にお肉を食べまくったよ!」

「楽しめていますよ、速水さん、羽柴さん。みなさん年上ですがとても優しくしてくれて。夕食もお風呂もアニメも楽しいですっ」

「一紗ちゃんと二乃ちゃんの家でみんなと楽しい時間を過ごせてるよ。二乃ちゃんとは初めて直接会えたし、同い年の百花ちゃんとはお風呂に一緒に入って親交を深められてるからね」

「お風呂気持ち良かったね、和奏ちゃん。みんなと一緒に楽しく過ごせてるよ」


 一紗ちゃん達はここまでのお泊まり女子会についてそんな感想を笑顔で言う。みんな楽しい時間を過ごせていると分かって嬉しいな。


『みんな楽しめているみたいで何よりです』

『そうだな、速水。楽しい時間になっていて良かったっす』


 ダイちゃんと羽柴君は優しい笑顔でそう言ってくれる。


『サクラ達とビデオ通話できて嬉しいです。画面越しにみんなの顔を見られますし。それに……春休みにサクラがうちに引っ越してきてからは、夜にサクラがいないのが初めてなので、ちょっと寂しい気持ちもあって。もちろん、お泊まり女子会を悪く言っているわけじゃないですよ。俺もラノベを読んで一人の時間を楽しんでますし』

「ふふっ、分かってるよ」


 寂しいって言ってくれることが嬉しくてキュンキュンしちゃうよ。


「大輝君に愛されてるわねぇ、文香さん」

「ですね、一紗先輩」

「フミちゃんは幸せ者だね」

「一緒に住んでいるからこそ出てくる言葉だね、文香」

「ラブラブなのが伝わってきますね!」

「本当に文香ちゃんのことが大好きなんだね、大輝君は」

『速水らしいな。桜井のことが大好きなんだな』


 ダイちゃん以外みんなからそんなことを言われる。嬉しいけどちょっと照れくさいな。ダイちゃんも同じような気持ちなのか、笑顔だけど照れくさそうにも見えて。ただ、その笑顔がちょっと可愛く思えた。


『サクラのことが好きだし、一緒に過ごしているからな。寂しい気持ちにもなるよ』

「ふふっ、そっか。……みんなと一緒にいて楽しいけど、私もダイちゃんが側にいない寂しさはあるよ」

『……そうか』


 そう言うと、ダイちゃんの口角が少し上がったのが分かった。私も同じ気持ちなのが嬉しいのかもしれない。


『ただ、せっかくのお泊まり女子会だ。この後も楽しんで、サクラ。みなさんも楽しんでください』

『楽しんでください。ビデオ通話楽しかったです』

『俺も楽しかったです。通話してくれてありがとうございます』

『ありがとうございます』


 ダイちゃんと羽柴君は明るい笑顔でお礼を言って手を振ってくる。


「私も楽しかったよ」


 と言って、2人に手を振る。

 一紗ちゃんと杏奈ちゃんも手を振りたいと言ったので、1人ずつ私のスマホを回して「楽しかった。またね」という旨の言葉を言って、画面に向かって手を振っていった。


「じゃあ、またね」


 私にスマホが戻ってきたところで、ダイちゃんと羽柴君にそう言って、グループでの通話を切った。

 ダイちゃんと羽柴君とビデオ通話をするのは楽しかったな。画面越しでもダイちゃんの顔を見られて嬉しかったし。それに……私がいなくて寂しいっていう気持ちも分かったことも嬉しかった。


「和奏ちゃん。ダイちゃんと羽柴君とビデオ通話しようって提案してくれてありがとうございます」


 和奏ちゃんにお礼を言う。和奏ちゃんの提案がなければ、こういう素敵な時間は過ごせなかったから。

 和奏ちゃんは明るい笑顔で「いえいえ」と答えた。

 それから少しして、私達はお菓子を食べながらのアニメ鑑賞を再開するのであった。

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