表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクラブストーリー  作者: 桜庭かなめ
特別編4-胸膨らむ夏の始まり編-

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

155/202

第3話『スクール水着選び』

 5月30日、土曜日。

 四鷹市は朝からよく晴れている。明後日から夏になるだけあって、陽の光を直接浴びると結構暑い。

 例年通りであれば、あと10日ほどで関東地方は梅雨入りする。それに、今日はサクラと一緒に、四鷹駅の北側に直結しているショッピングセンターのオリオに買い物に行く。そう考えると、この晴天も悪くない。


「今日もよく晴れているね。暑いけど、お出かけするにはいいよね」

「そうだな」


 昼過ぎ。

 俺とサクラは家を出発し、オリオに向かって歩いている。もちろん、恋人繋ぎの形で手を繋いで。

 サクラはオフホワイトのノースリーブの縦ニットに、膝丈の淡い桃色のフレアスカートという露出度がやや高めな服装だ。晴れて気温が上がっているので、サクラを見ていると、もう夏休みに入ったんじゃないかと思えてしまう。あと、縦ニットを着ているから、Dカップになったサクラの胸の膨らみがはっきりと分かる。


「もう、ダイちゃんったら。胸見ちゃって」


 そう言い、ニヤリとした笑顔を見せるサクラ。胸を見たのがバレていたか。


「ご、ごめん。昨日の夜はサクラの胸の大きさを測ったし、ベッドの中で……胸に色々なことをしたからさ」

「ふふっ、なるほどね。ダイちゃんに見られるのは嫌じゃないし、ダイちゃんなら胸を見てもかまわないよ。ダイちゃんは恋人で、私の胸の育ての親だから」

「ははっ、育ての親か」


 嫌だと思われていないようで良かった。

 あと、昨日の夜、胸の大きさがDカップだと分かったとき、サクラは俺が育てたといっても過言ではないと言っていたな。だから、俺を「育ての親」と称したのだろう。

 サクラと話していたから、あっという間に四鷹駅が見えてきた。土曜日で天気もいいから人がたくさんいる。俺達のような学生カップルや数人ほどのグループが多い。俺達の四鷹高校もあるし、北口には大学が2つある学生の街だからかな。

 南口から四鷹駅の構内に入る。改札付近で立っている人が多い。きっと、誰かと待ち合わせをしているのだろう。ここなら会いやすいし。

 改札の横にある入口から、オリオ四鷹店の2階に入る。エアコンがよく効いており、中はとても涼しい。


「あぁ、涼しいっ」


 サクラは爽やかな笑みを浮かべてそう言う。これからはより涼しいのが快適に思えるのだろう。

 2階は衣服のフロア。改札横から入った入口近くには直営の女性向けの服売り場や、若い女性に人気のアパレルショップがある。なので、周りを見ると女性のお客さんが多い。


「さてと。衣服は全て2階で取り扱っているけど、スクール水着と下着……どっちから買う?」

「まずはスクール水着を買おうかな。元々、水着を買うためにここに来たし。それに、水着がないと授業を受けられないから。まあ、去年着ていた水着もあるけど、それはキツくなっているんじゃないかなっ!」


 嬉しそうにそう話すサクラ。きっと、胸が大きくなったから、去年の授業で着ていた水着だとキツいと考えているのだろう。水着がキツかったら授業を受けるときも辛いだろうし。


「分かった。じゃあ、まずはスクール水着を買おうか」

「うんっ!」


 サクラに手を引かれる形で、俺は女子向けのスクール水着売り場へと向かう。

 スクール水着売り場は2年生になった直後の週末デートで、サクラと一緒に来たことがある。だから、ちょっと懐かしさを覚えて。水泳の授業シーズンが近いからか、当時よりも売り場にいるお客さんが多い。女性の数が圧倒的で、男性は俺を含めても数人ほどしかいない。もちろん、男性客は俺のように女性客と同伴だ。


「ここに来たのは、2年生になった直後のデート以来だね」

「そうだな。俺もそのときのことを思い出してた」


 あのとき、サクラはハンガーラックにかけられているスクール水着を手に取るだけで、買うことはなかった。シーズン近くになったら買うからと。最近、胸のカップがDカップになったし、シーズン近くに買う判断をして正解だったな。


「ダイちゃん。この前は黒いスクール水着がいいって言っていたよね」

「言ったなぁ。確か、去年の水泳の授業では紺色を着ていたから、今年は黒がいいって言ったんだっけ」

「そうだよ。ダイちゃんのその気持ちが変わっていなければ、私は黒いスクール水着を買おうと思ってる。あのときにも言ったけど、去年、黒いスクール水着を着ている青葉ちゃんが綺麗でいいなぁって思っているし。どうかな?」


 サクラはそう言うと、俺の手を離し、俺の目の前に立つ。明るい笑顔を見せ、上目遣いで俺のことを見つめてくる。それだけでも可愛いけど、少し首を傾げたからより一層可愛らしく思える。


「今でも気持ちは変わらないな。黒いスクール水着姿のサクラを見てみたい」


 周りにお客さんがいるから、小さめの声で正直に自分の要望を伝える。

 すると、サクラはニッコリと笑って頷く。


「分かった。じゃあ、黒いスクール水着を買うね」

「ありがとう、サクラ」

「いえいえ」


 サクラに再び手を握られ、俺達は中高生向けのスクール水着コーナーへと向かう。

 女子用のスクール水着は、色やデザインの種類が多いんだな。紺や黒、青のあたりが定番だけど、赤やオレンジ、緑などもある。

 良さそうなスクール水着があったのか、サクラは立ち止まる。ハンガーラックから黒いスクール水着を手に取り、商品タグを見ている。


「サイズ的にはこれが良さそうかな。じゃあ、サイズとか着心地を確認するために試着するね」

「ああ、分かった」

「……試着したら、私のスクール水着姿、見てみたい?」


 甘い声でそう問いかけてくるサクラ。チラチラと俺を見るサクラの頬はほんのりと赤くなっている。


「4月にここへ来たときに同じようなことを訊いたら、水着姿は授業までのお楽しみにしておくとか、高校生活頑張れそうだからって言って断ったけど」

「そんなことも言ったなぁ」


 晴れて暑いと思ったときとかに、「6月になったら水泳の授業があって、サクラのスクール水着姿が見られる」楽しみに思ったことは何度かあったかな。


「ちなみに、私は見せていいって思ってるよ。恋人のダイちゃんに最初に見てもらえるのは嬉しいし。あとは……ダイちゃんがいいなって思う水着を買いたい気持ちもあって」

「そっか。じゃあ、ここでスクール水着姿を見てみようかな。誰よりも先に見てみたい気持ちもあるから」

「分かった! じゃあ、試着したらダイちゃんに見せるね!」


 サクラは嬉しそうに言った。サクラが持っているスクール水着を着たらどんな感じになるのか楽しみだな。

 俺達は試着室の方へ向かう。

 試着室は3つあり、左端の試着室が空いていた。その試着室でサクラはスクール水着を試着することに。


「ダイちゃん。試着してみるね。着たら声かけるから。ダイちゃんはここで見張ってて」

「了解」


 サクラは持っていた桃色のトートバッグを俺に渡し、試着室の中に入っていった。

 試着室の扉が閉まり、鍵の閉まる音がした瞬間、急に心細くなる。ここが女子向けのスクール水着売り場だからだろうか。

 試着室の前に男一人で立っていたら、変質者に思われないだろうか。そんな不安を抱え、ゆっくり周りを見てみると……変な目で見るお客さんや店員さんはいない。そのことに一安心。サクラと手を繋いだり、仲良く話したりしたのが良かったのかも。


「ダイちゃん、着替え終わったよ」

「おっ、そうか。サイズとか、着た感覚はどうだ?」

「ちょうどいいよ。これなら水泳の授業も普通に受けられるよ。ダイちゃんがいいなって思ってくれたらこれを買うつもり」

「そうか。じゃあ、見せてくれ」

「うんっ!」


 さあ、いよいよ黒いスクール水着姿のサクラのお出ましか。どんな感じなのか楽しみだな。

 鍵の開く音が聞こえ、サクラの入った試着室の扉が開く。すると、そこには……黒いスクール水着姿のサクラが立っていた。


「ど、どうかな。ダイちゃん」


 はにかみながらそう問いかけるサクラ。きっと、俺にスクール水着姿を見せることに緊張や恥ずかしさがあるのだろう。

 サクラの水着姿をじっくり見てみると……去年の水泳の授業のときよりも大人っぽくなっている。水着の色が黒で、胸も大きくなったからだろうか。黒いからサクラの肌の美しさが際立って。あと、その場でクルッと一回転して背面も見せてくれ、その際にチラッと見えた肩甲骨が艶めかしい。


「とてもよく似合っているよ、サクラ。可愛いし、大人らしさもあって素敵だね」

「ありがとう、ダイちゃん!」


 俺の素直な感想が、サクラにとってはとても嬉しかったようだ。満面の笑みを浮かべていてとても可愛い。


「じゃあ、この水着を買うね!」

「ああ」


 学校のプールでこの水着姿を見せたら、男子中心に視線が集まりそうだ。それを考えると少し複雑になるけど、こんなに可愛いサクラがいるなら、今年の水泳の授業を頑張れそうな気がする。

 似合っていると言ったお礼に、サクラは俺にスクール水着姿の写真を撮ってもいいと言ってくれた。もちろん、サクラのご厚意に甘えさせてもらうことに。スマホで水着姿の写真を撮る。いい写真を撮ることができて満足だ。あと、店員さんやお客さんから警察に通報されるかもしれない懸念もあったけど、特にそういったことはなかった。

 その後、サクラは試着室で元の服に着替え、黒いスクール水着を購入するのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでいただきありがとうございます。ブックマーク登録、評価、感想、レビューなどお待ちしております。もし面白かったと思いましたら、☆の評価ボタンから評価してくださると嬉しいです。よろしくお願いします。

『クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。』の特別編3が完結しました!(2025.12.18) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://book1.adouzi.eu.org/n3046ir/

『まずはお嫁さんからお願いします。』の特別編6が完結しました!(2025.11.25) 高校生夫婦学園ラブコメです。是非、読みに来て見てください。
URL:https://book1.adouzi.eu.org/n4654ig/

『恋人、はじめました。【旧タイトル:告白を全て断っているクラスメイトのクールな銀髪美少女に勇気を出して告白しました。その結果、お試しの恋人、はじめました。】』の夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16) 学園ラブコメ作品です。是非、読みに来てみてください。
URL:https://book1.adouzi.eu.org/n6867gw/

『高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。』の2学期編4が完結しました!(2025.8.4) 学園ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://book1.adouzi.eu.org/n3283fx/

『10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ』の特別編5が完結しました!(2025.7.6) ダブルヒロイン学園ラブコメです。是非、読みに来て見てください。
URL:https://book1.adouzi.eu.org/n9714hq/

『管理人さんといっしょ。』の特別編11が完結しました!(2025.6.20) 学園同居ラブコメです。是非、読みに来てみてください。
URL:https://book1.adouzi.eu.org/n9156fn/

小説家になろう 勝手にランキング ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ