二十六話 疑念の先は……(4)
泉隊員、もとい反町若菜は堂々とすべてを語りだした。
「ばれちゃったからもう隠す必要ないか。私はね、間宮コウキの監視と彼の身体データの変化、細胞の変化を流すためにここに潜り込んだのよ。大変だったけどね。戸籍偽造したり、記録改変したりしなきゃいけなかったから。だってそうしないとすぐにばれちゃうし、ばれたら困っちゃうし、まあ仕方ないよねぇ。
あぁ、あと間宮君、君が一度この巨大生物特別攻撃隊という組織に不信感を抱いた時には焦ったよ。君がこの基地からいなくなられたらデータ取れなくなって困っちゃうからね。すぐに特殊な装置を作ってもらって考えを改めさせたんだよ。おかしいと思ったんじゃない?急に第三作戦室の皆の事信じられるようになったの。
ふふふ、あと私の流したデータは細胞の改良に役立てられた。間宮君、君の御陰なんだよ?こんなに巨大生物が強くなったのはさ。本当はもう少しデータ収集したらこの基地を巨大生物で潰すつもりだったんだけどまあばれちゃったしそれはどうでもいいや。ふふふふふふふ……」
「そうか、ずっと、ずっと僕は利用されてきたのか……」
「そういうこと。ご名答だよ間宮君」
自分が知らず知らずのうちに黒幕に利用されていたことに僕は怒りが込み上げてきた。
僕は拳を握り込み、今にも殴り掛かりそうになりそうになるのをこらえる。
「抑えろ間宮。……反町若菜、反町隆史は生きているのか?」
「ええ、生きてるわよ?じゃなきゃこんなことしないし」
全く悪びれる様子を見せず反町若菜は髪をいじりながら答えた。
「成程、やはり俺の思った通りか」
「それじゃあどうする?」
「案内してもらおうか?反町隆史の元に」
「教えるわけないじゃない!ばかぁ?ばかなの?」
「そうか、教える気はないか。まあいい。武田、さっき俺が壊した発信機と盗聴器の電波がどこで受信されていたかわかるか?」
「ええ、結構あっさりわかると思いますよ?どうせ壊したのってジャマーの発生装置だけでしょう?」
「よくわかってるな。流石は武田だ」
「な!?」
慌てて確認してももう遅い。既に逆探知は始まっており、今すぐ電源を切ってももう無意味だ。
武田隊員の解析したデータは僕たちの持つ通信用の端末に送られてきた。
どうやら山梨県の山中に反町隆史はいるらしい。
「さて、ここまでわかればいい。ここからは親子そろて話してもらおうか」
「くそっ」
「山内、小林、取り押さえてビッグスターに無理やり乗せてくれ」
「了解」
「泉、いや反町若菜。おとなしくしてもらうぜ」
取り押さえられた反町若菜はおとなしく歩いて第三作戦室から出ていった。
「さて我々も行こうか」
僕たちはビッグスターに乗り込むと反町隆史の居る山梨県の山中へと飛び立った。




