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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
三章 巨大生物の真実
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二十六話 疑念の先は……(2)

 副隊長に連れられてきたのは第三作作戦室戦闘隊隊長室であった。

 全員入るなり副隊長は部屋に鍵をかけて部屋の中央のソファーに腰掛けるように誘導した。


「高橋、どうしてここに?わざわざ第三作戦室から離れる理由などないだろう?」


「いえ、離れなければならないと判断したので防音設備があり、盗聴、盗撮の可能性の低いこの部屋に移動してきたんです」


「どういうことなんですか副隊長?」


「間宮、お前はあの日疑問がわかなかったか?」


「えっ?疑問?」


 何のことだかさっぱりわからない。

 あの日というのは秘密裏に僕の実家に祖父の手記や研究ファイルを入手しに行った日のことで間違いない。その日に疑問に思ったことなんていくら頭をひねっても僕には見当たらなかった。


「……いえ、さっぱり」


「隊長は何か心当たりありますか」


「……ああ、そういうことか。確かに疑問だ」


 どうやら隊長には理解できたらしい。


「あの、いったい何のことですか?」


「間宮、あの日俺たちは秘密裏にお前の実家に向かった。つまりあの日俺たちがお前の家に行くことを知っていたのは第三作戦室の戦闘隊くらいのもので、さらに言えば間宮家への道を知っていたのは間宮。お前ひとりだった」


「それが……」


「もし俺が思う通りなのだとすれば、恐らくあのフードで顔を隠していた男はお前の家を知らなかったはずだ」


「それじゃあ!」


 僕は机をたたき立ち上がった。

 僕は理解したのだ。高橋副隊長が手記を読みこれまでの事を思い返し、そして行き着いた信じられないような真相に。


「だから僕たちをここに移動させたんですか?」


「そういうことだ」


「とても信じられません!」


「だがそれなら話の筋は通る。まだ証拠は不十分だがな」


「そんな……そんなの……何かの間違いなんじゃあないですか?僕は、僕はずっと信頼してきたんですよ!?」


「それも計画の内だろう。お前のそばに置いておけばデータも取りやすいしコントロールもある程度できると踏んで送り込んできたに違いない」


「それも憶測の話でしょう?だったら……」


「憶測じゃあない!」


「なんで言い切れるんですか!」


「どこにも無かったんだよ。全部のデータを調べ上げたから間違いない」


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 訳が分からず立ち尽くす僕にすかさず隊長が補足を加える。


「巨大生物特別攻撃隊日本支部の戦闘隊隊員は間宮以外最初の巨大生物と戦ったことのある自衛隊隊員で構成されている。そこに泉が入っているというのはどう考えてもおかしい。高橋はそう言いたいんだよ」


「そんな……」


 僕はうなだれるようにソファーに腰を下ろした。


「とりあえず、話はこれで終わりです。隊長、俺は吉永参謀に会ってきます」


「わかった」


 高橋副隊長は鍵を開けて部屋から出ていった。

 うなだれる僕に飯塚隊長が近づいてやさしく声をかけてくれた。


「……間宮、お前の気持ちはわかる。私としてもあまり信じたい話ではない。……だが、高橋の言うことは間違っていないように思う。あいつは常に巨大生物をせん滅することを目的としてきた。巨大生物に関することならなんでも調べ、そしてこの結論までたどり着いた。あいつの過去を知る私にはあいつが虚言を吐くとは思えない」


「……高橋副隊長は過去に何が?」


「4年前の巨大生物災害で多くの部下を失い、傷つきながらも多くの命を救った。そして巨大生物を最初に倒した男として世界的に知られるようになった。精神を病みトラウマを抱えて苦しんで、それでも死んでいった部下のために戦う。たとえ命が尽きようとも巨大生物を駆逐すると決めてな。そんなあいつを知っているからこそ私は信じられる」


「だから、マキシベアとの戦闘の時あんな無茶を……」


「部下が死ぬことへの恐れは常に抱いているだろうからな」


「……僕は、僕は高橋副隊長のことを信じたい。でも……」


「泉のことも信じたいか。なら、たとえ泉が悪だとしても切り捨てるな」


 隊長は僕の両肩に手を置いて僕の目を見ていった


「君が泉を救ってやれ」


「……はい」


 僕は力強く答えた。


「よし、なら俺は高橋の元へ行くぞ。間宮はどうする?」


「僕も行きます」


 立ち上がり部屋から出ると、基地上層部のいる10階へと向かった。

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