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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
三章 巨大生物の真実
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二十五話 強大な暴食(5)

 三十分後、巨大生物が動き出す前に第三作戦室戦闘隊が完全に揃った。


「よし、運良く奴が動く前に行動に移せる」


「しっかしデカイな!何だありゃ!つか気持ち悪っ!」


 小林隊員が完全にハエ型巨大生物に興味を持っていかれている。


「小林、隊長の話聞こうな?」


 山内隊員がいつものように小林隊員を無理やり隊長の方に向き直させた。


「はい、すみません」


「さて、今回の巨大生物は見ての通りハエだ。まだ動き出してはいないが恐らく害悪巨大生物並みの危険度だと思われる。虫である以上炎に弱いはずだ。最初はナパーム弾やビーム兵器で様子見をする。トドメはビッグスターのBG砲、スターライトのストライクマキシマムドライブを使う。すぐに発進準備をしてくれ」


「「了解!」」


 僕はスターライトに乗り込むとビッグスターから発進した。

 巨大化を続けるベルゼブブに近づきトライブラスターを発射した。

 ビームが着弾し黒い煙を上げた。

 しかし、すぐに傷が塞がってしまった。


『まだ細胞分裂が続いているからダメージを与えてもすぐに治癒してしまうのか』


「ええ、そのようです」


『なら、無理やりにでも動かせばいいんだ!』


『おい小林、馬鹿するな!』


 ウィッシュスター一号機からクラスタースパイクが投下された。

 連鎖的に起こる爆発でベルゼブブの姿は見えなくなってしまった。


『どうだ!?』


『どうだじゃないんだよ!今は効かないんだっつの!』


『いや案外上手くいったかもしれんぞ』


 ビッグスターを操縦する高橋副隊長がそう言った。

 僕も恐らく山内隊員もそんな馬鹿なと思ったのだが、なんと煙の中から羽をはばたかせ、ベルゼブブが姿を現した。


「う、動いた」


『なんだか納得いかん!』


 しかし、動き出したということはこれ以上細胞分裂が進むことはないと考えてもいいはずだ。

 すぐさま攻撃を開始する。

 僕はトライブラスターで、ウィッシュスターはバーミリオンブラスターで攻撃を仕掛ける。

 高速で羽ばたいている為羽は狙っても当たらない。胴体目掛けて撃ちまくる。


「見かけ通り、動きはそんなに早くないですね」


『いや、そうとも限らん!油断はするな』


 高橋副隊長が言い切るか言い切らないかという所で急にベルゼブブの動きが速くなった。


『速いは速いがその図体じゃ交わしきれないだろ!』


 ウィッシュスターからバーミリオンブラスターがベルゼブブの中心に向けて放たれた。

 しかし、ベルゼブブはまるでわかっていたかのように平然と回避した。


『なにっ?』


「そんな、あれでかわされるのか」


『そりゃあかわされるでしょう』


 若宮隊員が通信に割って入った。


「どういうことですか?」


『ハエには驚異的な危機回避能力があります。よくハエを叩き落とそうとして逃げられる事があるのはその為です。これをどうにかするには回避不可能な攻撃をするか毒ガスを撒くくらいしかないです。ま、毒ガスなんて使えないので広範囲攻撃を繰り返して動きを鈍くするしかないですね。今の元気な状態ならオーバードライブモードの攻撃も回避できるでしょうから』


 オーバードライブモードの高機動性能を活かした攻撃すら回避可能というのは厄介すぎる。

 広範囲攻撃となるとやはりクラスタースパイクくらいだろう。


「とにかくクラスタースパイクで弱らせるしかないんですね?」


『そうなりますね。まあ、気を付けていないと撃墜されかねませんよ。先程計測したのですが瞬間的な速度はマッハ20を叩き出してますから。衝突したらまず命はないです』


 若宮隊員はあっさりと恐ろしいことを言う。


『わかった。とにかくなんとかしてみる』


『ええ、ご武運を』


 僕達は急上昇してベルゼブブの真上に位置取ると、クラスタースパイクを投下した。

 二機の戦闘機から投下されたクラスタースパイクは半径2キロを爆煙に包んだ。


『間宮、もういっちょ行くぞ!』


「了解」


 手を休めることなく再びクラスタースパイクを投下した!

 凄まじい轟音と共に爆発は続き、地面は揺れているように感じた。


「どうですかね?」


『これだけ撃ち込んだんだ。弱っている筈だ』


 様子を伺いながら旋回をしていると、突如、煙が上に舞い上がった。

 何が起こったのかはすぐに分かった。ベルゼブブが飛び上がり、ウィッシュスターをかすめたのだ!

 燃料タンクをやられたのか翼から炎が上がっている。


「山内隊員!小林隊員!」


『くっそ、間宮あと頼むぞ!脱出する』


「はい」


 高度を下げ、どんどん落ちるウィッシュスターから二人が脱出したのが見えた。

 脱出した二人はすぐに落下傘を開いた。

 落下傘で地上で降りるまでは時間がかかる。僕はトライブラスターをベルゼブブに向け発射して注意を逸らす。


「こっちだ!」


 僕はそのまま上昇してベルゼブブを二人から引き離す。


「隊長、オーバードライブを使います」


『うむ、いいだろう許可する』


『隊長、早すぎないか?』


『動きさえ止められればBG砲で決められる。それに、一機ではあれにダメージを与えるのは厳しい。ならばオーバードライブで一気に攻めた方が良い』


『……わかりました』


『間宮!』


「はい!オーバードライブモード始動!」


 一気に速度を上げてベルゼブブに近づきトライブラスターを発射した。

 ベルゼブブは回避しようとしたが間に合わず、腹部に直撃した。


「よし、当たるぞ!」


 高機動を利用してベルゼブブの進む先に先行して攻撃を仕掛ける。

 危機回避能力が高くとも回避できなければどうと言うことはない。やはり先程のクラスタースパイクが効いているのだ。


『間宮、時間がないぞ!ストライクマキシマムドライブだ』


「はい!」


 僕はチャージを行いながら旋回してベルゼブブに接近した。

 確実に当て、一気に弱らせる!


「チャージ終わった!ストライクマキシマムドライブ発射!」


 放ったストライクマキシマムドライブはベルゼブブの胸から腹にかけてを撃ち抜いた。

 この一撃が相当効いたのか完全に動きが鈍くなった。


『よし、ここまで弱れば当たる。GB砲でトドメだ』


 ビッグスターが変形して人工衛星のような砲門となり、巨大な光線が照射された。

 急いで僕は退避してオーバードライブモードを解除した。

 GB砲は完全にベルゼブブを消し去った。


『よし、ご苦労だった。すぐに小林と山内の元に向かうぞ』



 地上に降りると小林隊員と山内隊員が笑顔でこちらに無事を伝えるように手を振った。


「大丈夫か?」


 隊長がすぐに駆け寄り、体調や機体の処理について聞いている。


 僕は副隊長と共に車に乗り込むと泉隊員の残る実家に戻り、父と母に挨拶をして、資料を貸りる事を了承してもらった。


「それでは、資料をお借りします」


「はい。……高橋さん。今日はあなた方がいてくれたから良かったが、今後またあのような事があったらと思うと恐ろしいのだが」


「ええ、ですので間宮さん。しばらくは巨大生物特別攻撃隊の者を護衛に付けさせます。今回のような事が起こったのは我々の責任ですから」


「お願いします」


「……それでは」


 僕達は車に乗り込むとそのまま基地に向けて走った。

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