二十二話 巨大生物特別攻撃隊、南へ(3)
巨大生物特別攻撃隊基地から発進したビックスターはそのままだんだんと南下し、神山研究所跡のある無人島、佐々間島へと一直線に突き進んでいる。
ビックスター内部は第三作戦室をそのまま小さくしたようになっていた。
ただ違うのはコックピットがあることくらいだ。これなら何処になにがあるのかわかりやすいし、迷うこともないだろう。
騒音も少なく、かなり快適だ。
だんだんとこのビックスターに搭乗できていない小林隊員が可哀想になってきた……。
優雅な空の旅を続けること30分。僕たちは佐々間島が見えた。
出来る限り島に近づいてビックスターを着水させると、小型ボートを使って佐々間島へと上陸する。
小林隊員はなんとか着陸できそうな場所を見つけて着陸できたらしい。
全員が揃うと岩だらけの島内へと入っていった。少し歩くと森が現れた。何故だかこの島は島の中央の窪んだ場所のみに森があるらしい。
「見ろみんな。あれだ」
飯塚隊長が木々の隙間から見える半壊したの鉄筋コンクリート造りの巨大な建物を指した。
まだ四年しかたっていないにもかかわらず相当荒れ果てている。幽霊でも出てきそうだ。
「この廃墟が神山研究所跡だ。四年前、巨大生物が出現するまではここで6名の研究員が細胞学の研究に勤しんでいた。全員が神山研究所所長の神山公造博士の教えを請うていた秀才たちだった。間宮のお爺さん、間宮玄二さんも昔この研究所で研究者として在籍していたわけだ」
「そして密かに巨大生物特有の細胞。人工細胞α−biocellを生み出した……ですか?」
飯塚隊長が言う前に高橋副隊長が補足のように説明した。
「そういうことだ。……今回の目的はα−biocellの情報を得ることにある。どんな情報でもいい。必ず成果をあげるぞ。念のためフォースガンにはカートリッジを装填しておけ。では行くぞ!」
「「了解!」」
フォースガンにショットカートリッジを装填すると神山研究所跡内部へと潜入した。
神山研究所跡内部はそこまで荒れていなかった。外から見ると相当荒れ果ててるように見えるだけだったらしい。
「この研究所は二階建てだから、ここで二手に別れよう。私と小林、山内、武田、園内は二階。高橋副隊長、泉、間宮、嶋、横山は一階の捜索だ」
「「了解」」
「それでは行くぞ。まずは第一研究室からだ」
「了解」
飯塚隊長班が二階の捜索へと向かうのを見届けてから僕たち高橋副隊長班も捜索を開始した。




