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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
二章 新たな翼
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二十一話 黒き悪魔、再び降臨!(6)

 基地に帰還すると隊長と話している30代くらいで白衣を着こなす見るからに科学者な女性がいた。

 この女性が増田さんなのだろう。


「隊長、ただ今帰還しました」


「おお、ご苦労だった」


「それでもって……久し振りだな、増田」


「ええ、そうね高橋君。直接会うのは高校卒業以来かしら?」


 副隊長は増田さんと同じ高校だったのか……。って、何処の高校なのだろう?


「あの、副隊長の卒業した高校って?」


「うん?慶應だが?」


「「慶應!?」」


 僕含めその場にいた戦闘隊全員が驚いた。


「あ?話さなかったか?俺は小学校からずっと慶應だぞ?」


「うっそぉ〜。副隊長めっちゃ頭いいんじゃん」


 小林隊員が目を見開いて意外そうに言う。


「おい小林、お前ばかにしてんだろ?」


「そんなことないっすよ!あーすんません!」


 副隊長が小林隊員に構っている間に僕は増田さんに副隊長のことを聞いてみることにした。


「あのすみません。高橋副隊長って、昔はどんな人だったんですか?」


「高橋君?変わらないわよあのまんま。でも、学力はだいぶ落ちに落ちたみたいね」


「そんなに勉強できたんですか?副隊長って」


 ここで泉隊員も話に加わった。


「ええ。テストで高橋にだけは勝てなかったのよ。おかげでいっつも2番。私があんなに屈辱を味わったのはあの三年間だけよ」


 そんなに勉強できていたのか。副隊長には申し訳ないのだけれど、今の副隊長からはまるで想像できない。


「……おい、ところで何で日本に戻ってきたんだ?お前、ずっとアメリカ本部にいただろう?」


「あーおほん。そこからはまず私に説明させてもらおうか?」


 隊長が咳払いして話に割って入った。

 全員隊長に注目する。


「今回、こちらの増田研究員に来てもらったのは、以前から行われていた巨大生物の研究でわかったことがあるからなのだ。既に第一、第二作戦室には説明されているが、我々はまだだったからな。この場で説明してもらう」


「っというわけよ。日本に帰国した意味はこれでわかったでしょう?」


「わかったから早く説明しろ」


「相変わらずねぇ、この堅物野郎は……」


「お前も相変わらずの自己中だな」


「こんの野郎……馬鹿になったくせに……」


「いいからとっとと話せ"自称"天才」


 ……なんだろうこの空気は。小声で何か言い合っていたみたいだけど。

 この二人、混ぜたら危険なんじゃないのか?下手したらエキサイトしかねないんじゃあ……


「ちっ!あとで覚えてなよ……。さて、私たちが巨大生物を研究し続けてきた結果、新しい事実がわかったわ。巨大生物に必ず存在している謎の細胞、α−biocellが人工的に作られた細胞だとわかったわ」


「人工で作られた細胞だと?」


「そう。ベースとなった細胞まではまだわかっていないけどね」


 人工で作られた細胞……うん待てよ……それって!


「……人が巨大生物を生み出したってことですか?」


「間宮君?だったかしら?そう、そういうことになるわ」


 誰もが驚きを隠せなかった。


「そんな!一体誰がそんなことを!」


 山内隊員が叫んだ。

 全員が頭が混乱していたのだ。


「……隊長さん」


「ああ」


 飯塚隊長は増田さん、副隊長と目を合わせると、少し間をとって話し始めた。


「山内隊員。こんな事をした人間を私は知っている。その人は私の恩師であり、日本の細胞学の権威だった方。ノーベル賞候補にも名前があがった程の有名な学者だ。その人の名は神山公造」


 神山公造。名前くらいなら誰だって聞いたことがある程の有名な学者だ。

 自身の研究所である神山研究所の所長を務めながら細胞学の研究を独自に行なっていたが、その研究内容は誰にも口外されなかったという。

 確かに、その人なら作り出せそうだ。

 第三作戦室ないが一気に騒ついた。それもそうだ。今世界を震撼させている巨大生物の細胞を作り出したのが日本が誇る細胞学者なのだから。


「……皆んな。まだ、話は終わっていない。……今から話す事は口外禁止だ。間宮、君にはショックが大きい話になるかもしれない。しかし、話すならこの場面しか無い。心して聞いてくれ」


 飯塚隊長がここまでいうなんて……。

 なんの話なのだろう?僕がショックを受ける話?


「まず質問だ。間宮、君のお爺さんはどこで働いていたんだ?」


「えっ?確か、何処かの研究所って聞いたことありますけど、詳しく聞く前に死んじゃいましたから……」


「……実はその研究所というのが神山研究所なのだ。しっかりと研究員の名簿にも載っているのを確認した」


「……でも、それが何か?」


「間宮、君は昔死にかけたことがあるのでは無いか?」


 死にかけた事……。


「そういえば4歳くらいの時、病気で死にかけたことがあるって母から聞きました」


「……やはりか。ならば説明がつきそうだ」


 説明がつく?一体なんのことなのだ?


「間宮隊員。死にかけるほどの病気が治ったのは、君が神山公造の手自らでα−biocellを移植されたからだ」


「えっ?」


 僕は唖然とした。

 僕の体に巨大生物と同じ細胞がある?

 僕はそのまま崩れ落ちた……。

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