二十一話 黒き悪魔、再び降臨(2)
茨城県上空に到着した。
僕たちはレーダーでデビルクロウの位置を探り、戦闘準備を整える。
緊急手配で空港の飛行機は運行停止状態にしてある。巨大生物がどのような動きをするかわからない以上は航空機に被害が出ないようにという配慮である。
実際は作戦の邪魔であるからであるが……。
『副隊長、レーダーに反応あり。デビルクロウはこちらにむかってかなりのスピードで接近しています』
山岡隊員の操縦するウィッシュスター二号機がデビルクロウをレーダーで捕捉したようだ。
『了解、総員気を引きしめてかかるぞ!』
『『了解!』』
とは言ったものの、僕は初めての空戦とあって緊張していた。それに、自分の練度でどうにかなるのかという不安もあった。
『間宮くん初の空戦だけど大丈夫?』
「泉隊員……。いえ、初の空戦で緊張しちゃってて。それに、僕の技術でどうにかなるんでしょうか?」
『それは……どうなんですか?山内さん?』
泉隊員は山内隊員に話を回す。それもそうだ。僕に戦闘機の操縦を教えてくれているのは山内隊員だ。僕の実力を一番よく知っている人だ。
『技術的には申し分ない。十分やりあえると思う。……対戦闘機ならな。だが、今回の敵は烏型巨大生物。戦闘機ではできない動きをするからな。そう考えると今の間宮では厳しいだろうな。まあだけど心配いらない。俺たちもついてる。ピンチになったら必ずフォローするから心配なんてせずやれるだけやってみろ!』
『そうね。私たちもいるんだから大丈夫よ』
「ありがとうございます山内隊員。泉隊員。お陰で少し楽になりました」
『そうか。よし、そんじゃ頑張っていくぞ!』
「はい!」
僕は操縦桿を握りしめた。
その時、雲の切れ間から黒い巨大な烏が姿を現した!
その大きさは以前より一回り大きく、飛行速度も明らかに上昇している。
『行くぞ!各機無理はするなよ。作戦開始!』
僕たちは散開して攻撃を開始した。
まず僕はデビルクロウの上をとり左翼の付け根を確認した。
既に羽根で覆われて見えづらくなっているが火傷の跡が確認できた。
どうやら間違いなく以前出現したあの烏型巨大生物と同個体であるようだ。
僕は確認を終えると少し離れて動きを見ることにした。
その間、シューティングスター攻撃を仕掛けていた。ウィッシュスター一号機、二号機がカバーに入っている。
副隊長は見事にデビルクロウの背後をぴったりと取ることに成功している。
デビルクロウはなんとか逃れようとしているようだが、副隊長はそれを許さない。
するとすぐだ。副隊長は照準を合わせるとすぐさまレーザーを発射した。
デビルクロウに見事に命中したかに見えた。だが……
「当たってない!?」
デビルクロウは一瞬にして姿を消した。あたりを見渡す。
どこに行ったというのだ?
『なっ!泉隊員!後ろだ!』
山内隊員の通信を聞いて僕も泉隊員の後ろを見る。
なんとデビルクロウはぴったりと泉隊員操縦するウィッシュスター一号機の後ろをとっていたのだ!
だが、まて!一体いつ後ろにまわったというのだ?
……まさか。
『リーパーマンティスと……同様なのか……』
副隊長がボソッと言った。
……誰もがそれ以外に理由が考えつかなかった。




