十九話 災厄再び……(1)
謎の物質を入手してから1ヶ月がたった。本部に送られた物質は現在調査ちゃうとのことだ。巨大生物の核心に迫る重要な物。あの物質が解析された時、僕たちは真実を知ることになるのだろう。
巨大生物出現の原因か……。
今思えば、なぜ始めて出現したのが日本だったのだろうか?それに、最近の巨大生物の出現率が日本だけやけに高いのは何故なのだろう?考えれば考えるほど謎は深まるばかりだ。
……。今はこんな事を考えている時ではないな。今は巨大生物から人々を守ることだけを考えよう。
訓練場にて、僕はいつものようにスターライトの操縦訓練を山内隊員の指導の元で行っていた。
山内隊員との猛特訓のおかげで少しずつではあるが可変翼の使い方がわかってきた。
これも山内隊員の的確な指導のお陰だ。
『間宮、だいぶ可変翼の使い方わかってきたみたいだな』
「はい。でも、まだ実戦で使える程には……」
『焦るな焦るな。そうそううまくいくようなもんじゃないさ。その速度の戦闘機を操り、敵に照準を合わせながらとなればそりゃあ至難の技だぞ。そこまでの域に達したいならもっともっと訓練積まないとな』
「はい……」
『……そろそろ休憩するか。燃料の補給も必要だろうし、一回降りてこい!』
「わかりました」
僕はメインエンジンを止めると、両翼下部の小型エンジンの出力を上げてゆっくりと水平のまま着陸した。
スターライトから降りて山内隊員のいる訓練場テントに入ってパイプイスに座った。
ぼーっとしていると、頰に突然冷ややかな感触が伝わってきて、ビクッとなる。
「はっはっは。びっくりしたか?ほれ、俺の奢りだ」
山内隊員の手にはさっきまで冷やしていたであろう缶ジュース両手にが握られていた。先ほどの冷たい物はこれだったのか。
山内隊員はその缶ジュースの一つをを僕に投げ渡し、近くのパイプイスを引っ張ってきて僕の隣に座った。
山内隊員は座ってすぐに自分の分の缶ジュースをパキュッと開けて一口飲んだ。
「いい感じに上達しているな。この調子で頑張ればスターライトを完璧に乗りこなせるようになりそうだぜ」
「本当ですか?」
山内隊員からの言葉は素直に嬉しかった。あまりこういう事を言われたことがないので照れ臭くもあった。
「おう。センスもなかなかのもんだしな」
「いえ、山内隊員の的確な指導のお陰ですよ」
「うん?はっはっは!それほどでもあるな!」
山内隊員はゲラゲラ笑って満足そうな顔をした。ついつられて僕も笑ってしまいそうだ。
僕はまだ冷たい缶ジュースをあけて一口飲んだ。どうやら果肉入りのオレンジジュースのようだ。果肉がプチプチとしていてとても美味しい。
「このジュース美味しいですね」
「だろ?俺が一番好きなジュースなんだ。わざわざ愛媛から取り寄せてるんだよ」
取り寄せているのか。でも、これだけ美味しいジュースなら取り寄せてでも飲みたいな。
「僕も取り寄せようかな?」
「おっ?ハマったか?いいぜ、取り寄せ先教えてやるよ」
「本当ですか?ありがとうございます!」
その時だった。基地全体に緊急事態を知らせるサイレンが鳴り響いた!
「なんだ?」
サイレンが鳴ってすぐに通信機がなる。僕は通信機を作動させた。
『間宮、山内!急いで第三作戦室まで来てくれ!』
「隊長、一体何が?」
『……災厄巨大生物が出現した!』
「な、なんだって⁉︎」
災厄巨大生物が出現⁉︎
僕たちは急いで第三作戦室へと走った!




