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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
最終章 我ら、巨大生物特別攻撃隊!
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三十二話 流星の如く……(1)

 先ほどのフェイルノートの攻撃で空いた穴は注射後の超速再生で回復してしまった。BG砲で武器も障壁も焼き払われて遠距離攻撃もなくなり、障壁も盾も失ている。回復速度と外皮の防御力がいくら上がっているとしても先ほどよりも弱体化しているはずだ。


『動きを見る。間宮、援護してくれ。俺が近づく』


「それなら二機で翻弄した方が」


『オーバードライブ使ってパワーダウンしたスターライトでは捕まりかねない。心配はいらん。目視できる攻撃なら俺には当たらん』


「了解。では援護します」


『よし、軽くトライブラスターで弾幕を張れ。正面から行く』


 どれだけの運動性能か、攻撃範囲、破壊力、何もわかっていない状態で真正面から突っ込むいうのは危険極まりない。そんなことをして本当に大丈夫なのだろうか。

 僕は副隊長に意見しようとしたのだが、すでに突っ込んでいる。すぐに砲門を開いて攻撃を開始した。副隊長に当てないように微調整しながら撃ち続ける。

 シューティングスターが接近すると反町は腕を振り下ろした。一瞬腕が消えたかと思うほどすさまじいスピードで振り下ろされ、風圧で機体がぐらついた。


「副隊長!」


 離れた位置のスターライトがぐらついたのだ。至近距離で浴びていれば直撃していなくとも機体が操縦不能になっている可能性がある。

 その時、反町の顎下に深紅の光が直撃して、シューティングスターが上昇した。あの攻撃をかわしたのもすごいが、風圧を受けてもなお何事もなかったかのように動いている。

 宙返りをして機首を下に向けると急降下、反町の頭上で機首を少し起こして大きく左回りに旋回して顔と同じ高度になったところで急旋回をしてクリムゾン・レイを顔面に発射した。

 反町が手をふるうがすでに離脱しており、そこからは一撃離脱を繰り返し少しずつ反町の攻撃を引き出して情報を得ていく。

 反町も何とか食らいつこうと攻撃速度を速めたり、工夫しているが当たらない。副隊長も徐々に速度を上げてきている。

 高橋副隊長は攻撃後に少し上昇してスライスバックを繰り返し速度を殺さずに攻撃を繰り返し、当たりそうな攻撃もナイフエッジのようなマニューバで回避している。しかし、あの速度でそれをやるのは普通は無理だ。未来予知に近い予測と、熟練の操縦技術がなければ到底不可能だ。反町が高橋副隊長でなければ相手にならないといったのは、自意識過剰というわけでも、こちらを煽るためでもなかったのだ。高橋和正単騎の戦闘能力を純粋に評価し、警戒している証なのだ。


[流石だ。君を落とせばいい宣伝になる]


『そうか。だが、落ちてやるわけにはいかんな。こっちにはあいつらの仇ってのがあるんでな』


[死んだ部下の無念か?健気だなぁ!!]


 反町の爪が伸びて5キロ先のビルを真っ二つに切り裂いた。


『貴様のせいで悲しむ人がどれだけいると思っている!……あんな惨状を世界各国で繰り返さえるわけにはいかん!』


 高橋副隊長は過去に多くの部下を失ったと聞いた。自分自身も心身ともに大きく傷ついて、それでも若くして死んでいった部下のため、巨大生物による被害をこれ以上増やさないために、決死の思いで戦っている。だからあんな戦いができるのだ。

 でも、このままでは副隊長の身が持たないのではないか。幾ら最新技術で耐G性能は上がっているとはいえあんな急激なマニューバを繰り返していればかかる負荷は相当なものになる。


「副隊長、僕もやります」


『まだ待て。こいつはまだ底を見せちゃいない』


「でも、このままでは副隊長が持ちませんよ」


『心配いらないと言っただろう。適当に援護していればいい』


 そうとだけ言って副隊長は無線をオフにしてしまった。しかし、援護しようにもあのハイスピードの攻防の中、シューティングスターに当てないよう援護というのは困難を極める。

 離脱時に追撃させないよう反町の動きを止めるくらいのことならできそうだが、そのためにはスーパー3並みの火力が必要だ。トライブラスターでは注意を向けるのが精いっぱいだ。

 僕はただここで見ているしかないのだろうか。

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