助けて※表現要注意
少々暴力的なシーンがあります。
苦手な方はご注意ください。
三日目の朝がくる。
木にもたれて眠るのにも少しなれてしまった。
昨日の夕方、蛙石を見たと言うことは今日には途中の街を越えれそうだ。
街にも立ち寄りたいが、お金もなければ身分を表すものもない。
追っ手のことも考えるとここは素直に回避する方がいいかな。
◆ ◇ ◆ ◇
走っていて気がついたのだが、初日に折ったと思われた左腕が治りつつある。
まだ腫れているが、初日の様な熱と痛みはもうない。
折れるまでは行かなかったのだろうか。
確かにあの時、折れるほどの衝撃だったと思うのだけど。
何にせよ、腕が使えるのに越したことはない。
ここに来て発覚した明るい要素に気分もあがる。
折り返し地点も後少し。頑張るぞ。
◆ ◇ ◆ ◇
途中の街を越えた。
見るも無惨な見た目をしている自覚はあるので、人目のない場所で遠目に街を見ながら抜けていく。
そう言えば、王都に入るときはどうしよう。
なにも考えていなかった。
この見た目では間違いなく怪しまれるだろう。
騒ぎになり、エドワードに見つかればどうなる?
王都までもう半分を切った。着くまでに、何かしらの解決策を考えねばならないな。
◆ ◇ ◆ ◇
「おい、どこへ行く?」
夕方、街外れの山の中を考えながら進んでいけば突然声をかけられる。
「おお、身なりはあれだが、顔は綺麗だし、胸はでけえ。完璧じゃねえか。」
しまった。油断していた。こいつは山賊の類だ。
街の近くの山中に拠点を構えて旅人を狙う集団。
ここは奴らの縄張りのど真ん中でもおかしくない。
私は振り向かずそのまま走り出す。少しでも、距離を開けないと。
その思いも虚しく、私の横腹に衝撃が走り、肋骨がぽきぽきと折れる音がした後、体がふっとぶ。
体をしこたま木に打ちつけ、頭から血が出る。その場にうずくまり、吐く。
「まあ待てよ。なぁ?一緒に居たいと思えるようにしてやろうか?」
そう言うと男は私に覆い被さり、ボロボロのパジャマを破って行く。
やめて、私の体はお姉さまのものだ。お姉さま以外誰に渡さない。
それならばいっそ、今ここで舌を噛んで--
死の覚悟をきめた瞬間、私の上に居た男が居なくなる。
「おい、何してくれてんだ、てめえ?」
山賊の仲間割れか?何にせよ今のうちに逃げないと--
「おい、リシア嬢、これ着とけ。」
私の元に一着の服が投げられる。そこにあるのはハミルトン家の紋章。まさか。
私が見上げると、そこにいたのはカイトだった。
「良いか、少しの間目を瞑っていろ。いいな?」
カイトの言うとおりに目を瞑って下を向く。
「おいお前、ただでは済まないからな?」
口を抑えられているのだろうか。男の声はくぐもって聞こえない。カイトの声もどんどん遠ざかって行ったかと思うと、遠いところで男の断末魔がした。




