今、会いに行きます
「大丈夫ですか…?」
手紙を読んだ瞬間固まっていた私にエレノア様は声をかけてくれる。
「アボット伯爵令嬢!お手紙ありがとうございます!」
「礼なら書いたレベッカ様と、私にこの手紙を託したシンシアに。」
たぶん、この人も被害者だ。
お姉さまはエレノア様から、砂浜の存在を聞いたと言っていた。
だが、先ほどまでの口振り的に、恐らく本人もこうなるとは知らず、エドワードから聞いたことを教えたのだろう。
「それでも、お詫びとしてこんなところまで来てくれたんですよね!私、嬉しいです!」
「私はシンシアやレベッカ様と違って王家寄りと見られてますから。あの2人に比べれば簡単ですよ。」
それでもきっと、それなりの危険を犯して今ここに着てくれているのだ。
なんとありがたいことか。
「アボット伯爵令嬢、危なくなる前にここから逃げてください。私、今から一騒動起こすつもりなので。」
「え、ええ…それでは。」
エレノア様の運んでくれた手紙で私は戻って来ることができたのだ。いつかしっかりお礼しないとな。
◆ ◇ ◆ ◇
さて、お姉さまのお手紙を読んだら私も今すぐ会いに行きたくなってしまった。
とはいえそのままでは難しいだろうな。ここまでエドワードが私をお姉さまに会わせなかったということは、私がエドワードに恋に落ちるまで会わせるつもりがないのだろう。
今の私では下手したら一生ここに監禁されてもおかしくない。
幸い、今は身近にエドワードは居ないようだ。
恐らくリシアの外出の為に不審者等の露払いに出ている可能性が高い。
エドワードの監視があったり、見つかれば逃げるのは難しいだろう。本体スペックに差がありすぎる。
「では、逃げるとしますか!」
即断即決。お姉さまのところまで逃げ切り、会って、後は何とかする。
それだけのことだ。
逃げるとしたら窓だろうか。私は窓をのぞき込む。
「高いなぁ。」
ここは四階らしい。脱出防止で高い階に居させてたんだろうな。
窓から脱出計画を立てる。
ここの窓は出窓になっていて、この下の全部の階の部屋にも同じ物がついているようだ。
まずは、窓の下に手をかけてぶら下がって、下の階の出窓の上に乗ろう。
私は窓を開け放った。
今から、会いに行きますね。
タイトルは昔流行った小説です。




