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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部五章 愛してる
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ピロー・トーク その2

麗香視点です。

「あ、お姉さま。今週末なんですけど、同じゼミの高原さんからゼミの新年会に誘われまして…行ってきても良いですか?」


リシアが私の腹筋を長い時間ぺちぺちし、満足げな顔でそう訪ねる。

新年会、新年会かぁ。


「新年会ということは飲み会だろう?…大丈夫なのか?」

「高原さんも未成年ですから。飲まなくても良い割とライトな感じみたいですよ。」 


そういうのは結構アテにならないというのが個人的な感想なのだが…ううん。


「…行きたいんだよな?」

「そうですね。」

「なら、私に止める理由はない。」


あの人付き合いのあまり得意でない□□が、私との出会いからちょっとずつ龍斗や紫杏などといったと絡むようになって、こうして飲み会の場に誘われて行きたいと思えるようになった。

これは本当に歓迎すべきことだと思う。

並大抵の変化ではないし、とても良い方向への変化でもある。

そんな影響を私が及ぼせたとすると、それはすごく嬉しいことだ。

だからこそ、今は踏み出すリシアの邪魔になるようなことはよろしくない。


「ありがとうございます。」

「ふふ、でもちゃんと聞いてくれたのはとても嬉しいよ。別に何でも私に許可取らずに行っても構わないんだよ?」


リシアの全てをどうこう決める権利などない。

私たちは時折、お互いのすべてを所有しているような、そんな錯覚さえ感じるけれど。

実のところ、ただ、共に生きてくれてるだけの一個人なのだから。

それを忘れてはいけないと常々思う。


「そういや、そうですね?」

「うん。」

「…うーん、でもたぶん私は次があってもやっぱりお姉さまに聞くと思います。なんだかんだ。」

「ふふ、そう?」

「だって、お姉さまも聞くでしょう?というか、同じ状況でお姉さまが聞かなきゃ私はちょっと怒ると思います。別に止める筋合いまではないんですけど。」


リシアは想像してちょっと嫌な気持ちになったのか、私のお腹をまたぺちぺちし始める。

どうやらすっかりハマってしまったようだな?


「きけー、私にきけー」

「心配せずとも聞くとも。」

「ほんとですかぁ?」

「ほんとほんと。」

「まぁ、ならいいんですけどね。」


リシアはひとまず溜飲を下げたのか、そこでぺちぺちを中止する。


「何時から何時位の予定なんだ?」

「18時から3時間ほどだそうですよ。」

「ふぅん、場所は?」

「大学近くの飲み屋さんらしいです。」

「なるほど、まぁ最悪歩いてでも帰れるな…。」

「そんな時間までやらないと思いますよ?」

「心配することに越したことないから。」


思わずリシアを抱く手に力が籠もる。

少し驚いたのか、リシアの体がぴくりとする。


「やっぱりやめときます?」

「ふふ、そこまでしなくていいけれど。でもそうだな、当日は浮気防止しても良いかな?」

「ああ、またお腹に名前書きます?」


私は事故前撮影で離れている間、お互いが浮気しないようにとお腹に自分のものだというマークをラッションペンで書いたのを思い出す。


「うん、書いて良い?」

「まぁ構いませんよ。どうせ見るのお姉さまだけなんですから。」

「ふふ、今から書いちゃおうかな…?」

「良いですけど、それしたらもう一度スイッチ入れちゃいますよ?」

「全く、仕方ないな?」

「仕方ないのはお姉さまです。」


どうせ明日は特に何もない。多少遅くなっても構わないだろう。

そう思った私は、リシアのお腹に自分のマークを入れるべくラッションペンを取りに布団を出た。


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