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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部五章 愛してる
314/321

初詣に行こう! その3

麗香視点です。

ここにいる皆が元気でいてくれますように。それからリシアがずっと隣にいてくれますように。それからリシアが私を甘やかしてくれますように。それからリシアがもっとデレてくれますように。それからリシアがあのミニスカートでまた膝枕を…


「…さま!お姉さま!」

「呼んだか?」


私が熱心に祈っていると、横で必死に呼ばれていることに気づく。

ちょっと集中しすぎたようだ。


「長いです!後ろの人待ってますよ!」

「まだお願いごとの途中なんだが…」

「もう、こういうのはちゃちゃっと終わらせないと迷惑ですよ!」

「それもそうか。」


私はリシアに手を引かれ、先に横に避けていた紫杏たち二人の元に誘われる。


「何祈ってたんだ?」

「□□のミニ…げふん。龍斗こそ何をお願いしたんだ?」

「あ?何でも良いだろうよ。」

「龍ちゃんと私はね~、麗ちゃんを助けてくれてありがとうって。お礼言ったんだよね?」

「だっ、紫杏言うなよ…。」

「私も同じ様な感じですね。」

「…心配、かけたな。」


私は皆に改めて深く頭を下げる。


「ま、今が元気なら良いんじゃないですか?ねぇ?」

「そうよ~。今じゃ、事故前より元気な気がするもの。」

「少なくともパワーは上がってるな。馬鹿力に磨きがかかった。」

「皆…。」


私は龍斗の手を取って握りつぶした後、紫杏とリシアと軽くハグをする。


「さ、じゃあ帰りましょうか。□□ちゃんのお節が待ってるものね~。」

「私もてつだったんだぞ?」

「ところで、お姉さま?」

「ん?」

「私のミニスカートの何を願ったのか、帰りながら聞かせて貰いましょうか…?」


もう一度病院送りにならないかな。これ。


◆ ◇ ◆ ◇


「黒豆美味しい。」

「ん~このたたきゴボウ絶品ね?後でレシピ教えてくれない?」

「黒豆美味しい。」

「ええ、構いませんよ。龍斗さんはかずのこお好きなんですか?」

「魚卵系が好きなんだよ。ぷちぷちして。」

「黒豆美味しい。」

「へぇ、良いんじゃないですか?痛風だけ気をつけないと。」


一人、黙々と黒豆を食べていると、リシアがすっと冷蔵庫からお重に入らなかった黒豆をタッパーで出してくれる。

甘くて美味しい。


「お待たせしましたー。雑煮ですよー。」

「わっ、汁が白い。白湯みたい。」

「餅も丸い。こっちじゃ見ねえ雑煮だな。」

「地元風なんで、お気に召すかどうか…。」

「私は気に入ったぞ!」

「食べてから言いましょうか。お姉さま?」


私はその白い雑煮をいただいてみる。

うん。塩気が薄いか?

麹が多く、とろっとかつつぶつぶした喉ごし。

甘いな。具の野菜が味噌汁の味を吸うというより、味噌が野菜の味を吸った風だ。

私の知っている汁物とちょっと毛色が違うが…嫌いじゃない。

むしろ、甘味好きの私からすると普通のより好みかもしれない。


「うむ。美味しいな。」

「でしたらまぁ、良かったです。」

「優しい味わいねぇ。」

「ポタージュみたいな風にも取れるな。こいつ。」


大方好評のようだ。

リシアは料理上手だからな。


「丸餅なのは理由があるの~?」

「角が立たないように、ですね。お節と同じ縁起物です。」

「まぁそうなのねぇ。龍ちゃん、麗ちゃん?たらふく食べなさい?」

「なぜ俺たちが…」

「お前がツンツンしてるからだろ。」

「おい。」

「二人とも?」

「「はい。」」


紫杏に睨まれたので黙って二人静かに餅を口に入れる。

そんな私たちをリシアがくすりと笑いながら見ていて、とても幸せな時間だなと思った。


「あっ、鯛の姿焼き焼けたかな?」

「私が味見しよう!」

「ずりぃぞ麗香!俺も食べてえ!」

「ああもう!私が全部食べますよ!?」

「「それは無理だろ」」

「どうしてそう言うときだけぴったり息が合うんですかね!?」




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