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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部五章 愛してる
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タイガーアンドバニー その1

麗香視点です。

タイトルは某アニメとは関係ありません。

時は12月初頭の頃。

深夜、二人布団の上で半ば微睡みかけていた時唐突にリシアが口を開いた。


「そう言えば最近コス衣装を作ってないですね。来年はウサギ年なのでお姉さまのウサギコスを見てみたいです。」


本当に唐突だな?

リシアは邪念まみれの目でこちらに振り向く。


「ウサギといえばバニー。スタイル抜群のお姉さまなら大変エロ…げふん、美しいと思うんですよ。」

「…別に着るのは構わないけれど。」

「せっかくなら今流行のバニータイプでも構いませんか?」

「リシアも当然、合わせてくれるんだよな?」


リシアが私のバニーコスを見たいように、私もリシアのバニーコスを見たい。

着るのは全然構わないのだが、リシアも着てくれないと不公平ってやつだ。


「うーん…わかりました。私もバニー“に”合わせてコスをしましょう。」

「やった、なら喜んで着よう。」


私は別によほどでなければ衣装を着ることに頓着はないし、バニーくらいなら全然着よう。

ましてや相手もリシアに見せるくらいだしな。

それよりリシアが恥じらいながらバニーコスをしてくれる方がよっぽど価値がある。


「では、明日の朝採寸しましょう。材料も買わないと。」

「楽しみだな。」


そう約束して、私たちはまた眠りに落ちてゆく。

あの時はまだ、あんなことになるとは思ってなくて。


◆ ◇ ◆ ◇


「年末くらいまでには、完成させたいですねぇ…」

「あんまり無理しないようにな。…ところで、材料はこれであってるのか?」

「あってますよ?」

「本当に?」

「本当に。」



「ちょっと形になってきましたよ。ほら。」

「おお、なかなかの物だ。…ところで、布面積ってこれでいいのか?」

「良いと思いますが?」

「本当に?」

「本当に。」

「胸出ちゃわない?」

「出ないんじゃないですか?」



「テストも終わって結構時間取って縫えますねえ。」

「それは良いな。見ててもいいかな?」

「構いませんよ。」

「…両方全然バニーではなくない?」

「こっからバニーになるんですよ。ほら、耳はウサギでしょ?」

「本当に?」

「本当に。」



「何とか大晦日には完成しそうですね。」

「…これ、バニーか?」

「バニーですよ?」

「こっちは?」

「…」

「目をそらすな、私の目を見ろリシア。」

「……」

「返事もしよう、な?」

「………」

「リシアさーん??」



◆ ◇ ◆ ◇

 

そして、大晦日。


「ということで、完成です。じゃーん、着てみました。」

「…やっぱりバニーじゃないよね?」


目の前には黄色と黒と白のしましまの着ぐるみパーカーを着たリシア。

手をがおーと上にあげている。

可愛い、可愛いけども。

期待してたのとは違う!!


「バニー“に”合わせます、と言ったので。私は年を送る側で。」

「リシアの嘘つき…。」

「嘘はついてませんもーん。それよりお姉さま、はい、どうぞ。」


リシアの手渡す布地をじっと眺め、私はいくつか問う。


「これは…足につけるやつかな?」

「そうですね。」

「最近のバニーは足のところも着るんだね。」

「そうなんですよ。」

「お尻、ちょっと際どくない?」

「尻尾、可愛いでしょ?」


私は次に肩と腕を覆う形のそれをとる。


「これはここに頭を入れて着るのかな?」

「そうですね。ここから腕を出してもらって。」

「最近のバニーは肩出さないんだね。」

「そうなんですよ。やはりね、そう言うところも隠していかないと。」


そして残ったウサ耳とシール類を眺めつつ、リシアに問う。


「…で、残りの布地はどこ?」

「そこにあるものが全部ですけど?」

「いや、おかしいだろ!?」


このままでは胸と胴と鼠径部が丸出しだ。


「これが今流行の逆バニーってやつですが?」

「逆にするんじゃない!そこを!」


バニーってのは大事なところだけを隠して後は出すって衣装だ。

そこを逆にしたら大事なところだけ出るんよ。

おかしくない?


「安心してください。」

「ん?」

「本当に出したらヤバいところにはこれ貼っていいですよ。」


リシアは小さなハートマークのシールをこちらに数枚差し出す。


「なるほどー。それは安心だ…そんなわけないだろ!?」

「ほら、約束ですから。そ・れ・と・も。着せて差し上げましょうか?」


リシアががおーのポーズのままにじりにじりと寄ってくる。

顔に張り付いた笑顔が妙に恐ろしい。


「着る。着るから!」


私は逃げるように衣装を掴んで部屋に飛び込んだ。


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