年末のあれこれ その1
「お姉さま、起きてくださいってば!!」
「んー。もう5リシア…。」
「何で私が単位になってるんですかね…。」
布団で丸まって起きようとしない奴を必死にたたき起こす。
今日は午前中に買い出しを済ませて、午後からは大掃除をする予定なのだ。
ここでお姉さまにガッツリ寝られると、1日の予定が狂う。
「もう、起きないならお布団ひっぺがしますよ!」
「そんなことされたら、寒くて死んでしまう…。」
「なら起きてくださいよ!」
普段ならお姉さまが起きてくる間にトーストを焼くなり顔を洗うなりして待っていれば起きてくるのだが…今日はそれでも起きてこず今だ。
「おーきーてーくーだーさーいー!」
「後もう少し…。」
私は一生懸命布団を引っ張って剥がそうとするが、びくともしない。
みっちり布団を巻き込んで丸まっている。
これは攻め方を変えるしかないな。
「せっかくお姉さまの為に朝食にパンを焼いたのに…」
お姉さまの耳がピンとそばだつのがわかる。
「温かいうちに食べて欲しいのに…悲しいです。」
別にトーストなんて冷めても食べれるし、そんなに大差ない。
なのでぶっちゃけどうでもいいのだが…。
あえて悲しいフリをして、少しぐすんとしてみる。
すると、たちまちお姉さまはがばりと起きあがる。
「起きた!朝ご飯を食べよう!な!」
「とりあえず服着てください。」
全く世話が焼ける。
◆ ◇ ◆ ◇
「はーいお姉さま、カートお願いします。」
「うむ、任された。」
私はとりあえずお姉さまに初手でカートを持たせる。
ちなみに、入り口で妙ちくりんなフルーツを見かけて駆けだしたお姉さまをすでに一度捕獲している。
「今日は何を買うつもりだ?」
「大掃除のための掃除系もろもろと、後食料品ですね。お節を作ろうと思っているので、そういう系統も。」
「お節?良いなあ!」
「もちろん、お姉さまにも手伝ってもらいますよ。」
とりあえず、洗剤とか重い物も買おう。
ここには米3袋でも軽く片手で抱えそうな天下無双の怪力がいるのだ。
なんと心強いことか。
「お風呂掃除と、キッチン掃除と、トイレ掃除と…窓拭いて、こたつ布団はさっきランドリーに出しましたから、後何かありますかね。」
「フローリング。」
「ああそうだそうだ。床磨きも買わないと。ワックスはします?」
「そこまではしなくていいんじゃないかな?」
「洗濯槽クリーナーってのがあったぞ?」
「良いですね、洗濯機も掃除しちゃいますか。」
「なら排水溝もぬめり取りしちゃおうか。」
「流し込むだけですもんねえ。」
「よくよく思えば、洗面台も掃除したいですね。」
「ああ、ちょっと汚れてきた気がするな。でもキッチン掃除の道具と一緒で良いんじゃないか?」
「えーでも、キッチンはシンクで洗面台は陶器系じゃないですか。大丈夫なんですかね?」
「裏の説明にはいけるって書いてるぞ?」
「カーテンって、どうやって掃除するんだろう?」
「コロコロとかですかね?確かに私が入居したときにあったものそのままですし、気になりますね。」
「そもそもレースタイプのものなのも気にかかる。外から見えないような遮光タイプの方に買い換えないか?」
「良いと思いますが、それはちょっと趣旨からずれるんで、また今度ですかねえ…。」
二人で相談しながら空間を作っていく作業はとても良い。
私は好きだ。
今日の大掃除、頑張っちゃいますかね!




