何もしない日 その3
こたつの中でのんびり過ごしていた私達だが、最低限のことはどうしてもしなくてはならない。
「どうして、こういう日に限って私が洗濯当番なんですか…。」
私は洗濯機の終了音でこたつの中から這い出し、ぶつくさ言いながら洗濯物をバスケットに入れて干す準備をする。
お姉さまは暇だから手伝おうか?と言ってくれたが、こういうのはやはりちゃんと当番がやるべきだ。
私は洗濯機に手を突っ込み、中の物を取り出すと、昨夜見たばかりの派手目の下着が出てくる。
「おねぇーさま!下着は自分で洗ってくださいって!!」
私はこたつに向かって叫ぶ。
「どうせ見るんだから良いじゃないか!」
お前には恥じらいというものがないのか。
無いんだな?
「そういう問題じゃないですってー!後、ちゃんと下着はネットに入れて洗ってくださいね、って言ったじゃないですか!」
「何ー?聞こえないー?」
「絶対聞こえてるでしょ!こら!マジで聞こえないならちょっとこっち来てくださいよ!」
「今ちょっと難しいー!」
「後で覚えててくださいね!おねぇーさま!」
私はお姉さまの下着をバスケットに乱雑に投げ込む。
次は私のか、とりあえず洗濯機に引っかけといて、お姉さまのだけを先に全部投げ込んでおく。
それから洗濯機に引っかけたものも合わせて私のだけを全部上に乗せてバスケットを物干しに持って行く。
ある程度ざっくり分けとくことで、分けて干せる。
「雨降ってませんけど、これは部屋干しですかねえ」
「またいつ降り出すかわからないな、これは。」
私はこたつに住むこたつむりの横を通りつつ軽く言葉を交わし、部屋干し用のラックに向かう。
私は部屋干し用の二つのラックに洗濯物を掛けていく。
元々一人暮らしなので、一人用くらいのサイズの物しかなく、二つ目のラックはお姉さまが来てから増えたものだ。
「なーんか、妙に今回タオルが多くないですか?」
私は洗濯物を干す私の背をこたつで眺めているであろうお姉さまに背を向けたまま声を掛ける。
「気のせいじゃないか?」
「いーや、絶対多いですって。…お姉さま、自分の当番の洗濯物、私の当番に回してたりしませんよね?」
「気のせいだと思います。」
「丁寧に言っても変わらないんですけど!?」
私はどう見ても前回の洗濯からの間より多い量のタオルにため息をつきながら洗濯バサミにひっかけてゆく。
あんにゃろう。
先ほど手伝おうかと言ったのも、今回に押しつけた気まずさからだな?
後で顔を洗濯バサミで挟んでやろうか。
そんなことをひとりごちながら、やっとのこさ全部干し終えた私はくるりと振り返り、お姉さまの元へ向かう。
「お疲れ様。ほら、こたつでゆっくりしよう?」
お姉さまは自分の膝の間をぽんぽんと手で叩く。
だが、私はあえてそれを無視してお姉さまの膝を跨ぐようにして目の前に仁王立ちする。
「…リシア?」
「下着の洗い方、前にも言いましたよね…?まとめて洗うときは色移りするから、ネットに入れてくださいねって。自分で洗ってくださいとも。」
「はい、言いました…。」
お姉さまは居心地悪そうにそう答える。
私はドスンとそのままお姉さまの膝の上に向かい合うように座る。
そしてそのままお姉さまを押し倒す。
「下着の洗濯ルール守れない子に、下着はもう要りませんよね…?」
「やっ、あの、リシア?」
私はお姉さまの服に手を突っ込むと、フロントホックに手を掛けぱつりと外す。
「お姉さまはルールも守れないお子ちゃまですから?私が脱がせて差し上げますね…?」
私は何か答えようとするお姉さまの口を口で塞ぎ、服を少しずつ剥ぎ取っていった。
◆ ◇ ◆ ◇
「ちゃんと、ちゃんとするから…意地悪、しないで?」
「何が意地悪なんですか?」
「…わかってるくせに。」
「次、私の当番一回お姉さまがやってくれますよね?」
「そういうの、このタイミングで出してくるの、ズルいと思う。」
「主導権は、いつだって私ですから。」




