小編・お絵かき
今日は色々立て込んでいて本編が更新できそうにないので、ちょっと小編を挟みます。
麗香視点です。
「お姉さまって、絵描くの苦手だったりします?」
「ん?考えたことはなかったな…。」
唐突なリシアの質問に私は頭を悩ませる。
美術の成績も普段は4を貰っていて苦手意識はない。
なのであまり考えたことがなかった。
「どうしてだ?」
「いえ、何となく?」
そう答えるリシアの目はどこかへ泳いでいる。
何か心当たりがあるが言い出せない感じだろうか。
「試しにこの紙に何か描いてみてください。私はそれを当てるので。」
「任せろ。」
私は紙を手に取り、すっすとイラストを描いていく。
うむ、急拵えだが我ながら良い出来映えだ。
「どうだ!?良く描けたと思うのだが!」
「うーん…」
リシアがとても微妙な顔をしている。
「良く描けたと…思うのだが…」
何だか不安になる。
「わかりますよ、わかります。ここまで出てきててつっかえてるというか…とにかく、わかりますよ?」
わかりますしか言っていない。雲行きが怪しい。
「うーん!あっ!可愛い玉子焼きですね?」
「………」
玉子焼き。
「あれ?えーっとぉ…、ナルト?」
先ほどから食べ物の名前しか出てこない。
「リシア。」
「正解ですね!?ちょっと苦戦したあ…」
「それ、犬なんだ…。」
「えっ、えええええ!?」
リシアが驚いた顔で紙をくるくる回す。
上下はそれであっている。だから回さないでくれ。
「かわ、かわいい…わん、ちゃん?ですね…?」
「そんなに酷いか…?」
「ああっ、お姉さま、私が悪かったですから落ち込まないでください!」
部屋の端でトレーニンググッズと共に三角座りをすると、慌ててリシアが手を引っ張る。
「犬って言うとですね…こんな感じで…」
リシアがすらすらとその横に犬を描いていく。
ダルメシアンだろうか?中々細かく描けている。
「私の中じゃこんな感じのイメージで…あっ、絵は個性ですもんね!?」
「…探さないで欲しい…。」
「お姉さま!帰らないで!お姉さま!」
部屋から出ていこうとする私をリシアが一生懸命手を引く。
「じゃ、じゃあ!お姉さま!ここに立方体を描いてみてください!」
「あ、ああ…。」
私はリシアに急かされ立方体を描いてみる。
立体はあまり得意じゃないのだが…
「…お手本みたいな図ですね。」
「そうか?」
「円錐とか描けます?」
「こんな感じかな。」
「…お姉さま。立体はすっっごくうまいですね!?」
リシアが興奮したように私の描いた図を見る。
苦手と思っていたものがよく描けているらしい。
つまり、描きづらいものを描けばいいんだな?
「では、これはわかるか?」
私は紙にライオンの絵を描く。
たてがみとか描きにくいし、逆に解るかもしれない。
「…ピザ?」
「穴を掘ってそこで暮らそう…」
「お姉さま!?」
その日1日私は立ち直れなかった。




