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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部三章 恋とは
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□□の誕生日 その1

「リシア、見ろ!マンボウだ!!」

「はいはい、お姉さま、調理できるんですか?」

「焼けば何でも食べられるとは思うんだが。」

「可食部が解らないんでダメです。」


「リシア!リシア!鶏の足だ!!ほら!!」

「気持ち悪いもの指ささないでください!?原形そのままじゃないですか!?」

「買い…」

「ません!行きますよ!」


「台湾の薄焼き餅…」

「良いんじゃないですか?買います?」

「良いのか!?」

「全部却下されるものだと思ってます?」


今日は輸入食材も扱う高級スーパーにやってきた。

もとよりスーパーに来ると何故か小学生並の精神年齢となるお姉さまだ。

珍しい食材の多さにテンションmaxのお姉さまを引き連れ大変だ。


「あ、お姉さま。ワニ肉なんてありますよ。」

「ワニはなぁ、淡白な豚肉って感じだな。私は好きだ。」

「へぇ、食べたことあるんですか。」

「ふふ、珍しい食材に引き寄せられるとはリシアも子供だな?」

「……」

「無言でパンチを繰り出すな!?」


ちっ、避けられたか。

本気でわき腹にパンチを食らわせてやろうと思ったのに。

こっちから乗っかったら煽ってきた奴への天罰だ。


「じゃあ、パンチするんで、避けないでくださいね?これで良いですか?」

「そう言う意味でもない!」


ちっ、また避けられた。

あまり店内で暴れるのも良くないので、ここらへんで切り上げる。


「チーズ、オリーブオイル、バゲット…昼の分はだいたいこれで良い感じですかね?」

「夜焼く分の肉も入れておいたぞ、ほら。」


お姉さまはにっこにこと100g800円のサーロイン肉を掲げてみせる。

最高級とまではいかないが、それでも中々良いお値段だ。

中々普段買う機会がない。


「他にも買うが、これだけは絶対買うだろ?な?」 

「ふふ、そうしましょうか。」

「やった。焼くのが楽しみだ。」


これは絶対にうんと言わせるぞといった雰囲気が可愛らしい。

別に変な食材じゃなければダメって言いませんし。


「お肉選び終わったらステーキソースも見にいきますか?折角ならそちらにもこだわった方が良いでしょう?」

「良いのか?」

「そもそも、お姉さまのお金ですから私に許可とる必要あります?」


あっ、赤セン食べたいな。

あるかなあ。あったあった。

かごに一つ放り込む。


「いや…そうなんだがな?」

「変な散財しそうなんで止めてるだけですから。それも別にお好きにすればいいですし。そんな筋合い本来ありませんから。」


タン塩は欠かせないな。ちょっと高いけど、まぁお姉さまが出してくれるらしいし。

かごにたくさん放り込む。


「それでもこう、リシアがしっかり管理してくれる方が私は嬉しいぞ?」

「そうですか。」


骨付きカルビ。これ好きなんだよな。

肉の回りのゴム質のところが特に好き。

骨の重量分ちょっと割高なんだけど…まぁ、予算内だしな!

かごにどーんと放り込む。


「本格的に一緒に暮らしだしたらリシアに管理してほしいな。」

「良いですよ。」


豚トロ。食べたいな。

でも、さすがに高い奴だと予算が怪しくなってくる。

安いのは美味しくないし…


「あれ?」

「どうした?」

「今、私なんか変な約束しませんでした?」

 

肉を選ぶのに集中しすぎて、お姉さまとの会話が疎かになっていた。

だが、何か約束したような気がする。


「気のせいじゃないか?」

「良いですけど、でしたら約束したことも気のせいですね?」


集中したところを見計らって約束を取り付けたのは容易に想像できる。

そっちがその気なら私だってちゃぶ台返しだ。


「…将来、リシアにお金の管理をしてもらいたいって約束だな。」

「はい?ドMなんですか?」


好き好んで金の管理されたい人って居るんだな。


「…ダメかな?」

「…お姉さまがその時になってもそのつもりなら良いんじゃないですか。」

「うん。ありがとう。」


お姉さまは満面の笑みでこちらを見る。

約束すべきじゃなかったかもしれない。だがもう遅い。

後、何が居るんだっけ。解らなくなってきた。


「肉はこれくらいでいいか?だったらステーキソースを見に行こう!」

「そ、そうでしたね。」


私はお姉さまの後ろをついて行く。


「そうだ、ティッシュのストックがもう無かった気がするんだが。」


お姉さまは道中の生活用品の棚に目をやる。


「え、うちですか?」

「ああ。無かったような記憶がある。」

「どうでしたかねえ。一応買っておきます。」


私はティッシュboxの詰め合わせを一つかごに入れる。

こういうものは気づいてくれる人が居ると便利だ。

だけど、今のやりとりは何だか--


「一緒にルームシェアしているみたい、だよな?」

「え、ええ。」


それは以前の私の発言を受けたもの。

でも、今のこの感情は当時とは違って--



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