3人、寄り添いあって その2
麗香視点です。
「ああもう面倒くせえ。そんなにくよくよしてんなら直接謝りに行って来いよ。たぶんそれで全部解決すっから。」
大学の食堂のど真ん中。
龍斗と紫杏の計らいで授業を抜け出し□□とのことについて相談に乗ってもらっていたのだが、面倒くさくなってきたのだろう、そう龍斗がぶっきらぼうに言う。
元はといえば私が意気地ないのが悪いのだが…とはいえ、そんな雑な解決案を出されても。
そう思い紫杏に助けを求めようと視線を移すが、肝心の紫杏までうんうんと頷いている。
「…本当に?」
「麗ちゃん、もうその顔で□□ちゃんにごめんなさいしてきなさい。たぶん許してくれると私も思う。」
「その顔って、私今どんな顔を…?」
ぺたと頬を触ってみる。よくわからない。
「くっそ情けねえ顔だよ。濡れ鼠のがまだマシな顔してやがる。」
「龍ちゃん。…とはいえ、あまり擁護のしようがない顔してるわね?」
紫杏にまでそんなことを言われる。
今の私は相当ひどい顔をしているらしい。
「でも、□□に嫌われたら、私何のために産まれたのか…」
「オーバーねえ。」
「おい紫杏、麗香はいつから詩人になったんだ?」
二人とも苦笑いしながら私を見る。
まるで駄々をこねる子供を見る大人のようだ。
となると、私が子供なのか?
そう思うと、少し笑えてくる。
「ほら、もー、麗ちゃんしっかりして?とにかく、都合がつきそうな時に直接謝ってきなさい?その時に、ちゃんと考えを聞いて、考えを話してくること。あなたたち二人はそこらへんが足りないの。」
「本当に面倒くせえんだから、□□ってのももっとしっかり麗香の面倒見てやって欲しいよな…。ひっ!?」
リシアの悪口を言う龍斗を殺気を籠めて睨みつけてやる。
ビビるなら最初から言うんじゃない。
「はーい麗ちゃんステイステイ。いきなり噛みつかない。」
「む…。」
「龍ちゃんも、人の好きな人の悪口言わない。良い?」
「はい…。」
「二人とも解ったならよろしい。では…ふぁいっ!」
「「え??」」
龍斗と二人顔を見合わせる。
「…冗談のつもりだったんだけど…寒かったかしら…。」
「そんなことない!なぁ、龍斗!?」
「あ、ああ、そうだよ紫杏!最高に面白かった!」
私たちは今度は紫杏を慰めるのに必死になったのだった。
◆ ◇ ◆ ◇
『今から会えないか?』
夜も更けた頃。
リシアに送ったメッセージを見返す。
まだ、既読はついていようだ。
気づいていないと言うよりは、意図的に読んでいないのだろう。
そして、返事もないのに私はリシアの部屋のドアが見える位置までやってきてしまった。
どうしても会いたい一心で通話をかけてみるが、やはり出ない。
こんなので家の前に居ても、ストーカーみたいで怖いだけだな。
私はバイクのエンジンをかけ、帰ることにする。
明日は会えると良いのだが。そう思いながら出発しようとした瞬間、ポケットのスマホが鳴る。
リシアか?私は慌ててバイクを止め、スマホを取り出す。
画面を見るとリシアの名前。私は胸を弾ませながら出る。
「もしもし、リシア!?あのな…」
私は話しかけてみるが、答えがない。
不思議に思っていると、リシアの部屋のドアが開いており、出てきていたリシアと目が合う。
『バイクのエンジン音がしたので、もしやお姉さまと思ったんですが…やはり、そうでしたか。』
『その、…すまない。』
『立ち話も何なので、駐輪場に止めてあがってきてもらえます?』
そこで通話が切れる。
付きまといとか、そんな風に思われてないだろうか。
不安を抱えながら、私はリシアの部屋へと向かっていった。
少し短いですが、キリのいいところなので。




